櫻谷古書店、鬼の棲む場所
祖父・透が逝去して一年。十九歳の櫻谷青慈は、浪人期間の勉強部屋として、寂れた商店街にある『櫻谷古書店』を継ぐことになった。
数年ぶりに訪れた店先で、青慈は作務衣姿の精悍な男、木島朔夜と再会する。彼はかつて祖父が連れてきた店番兼居候で、幼い青慈の遊び相手でもあった。
「本当に、長かったぜ。待ちくたびれた」
そう笑う朔夜の熱い体温と、どこか浮世離れした佇まいに、青慈は懐かしさと同時に、身体の芯が疼くような奇妙な感覚を覚える。しかし、青慈には中学三年の夏を境に、彼との記憶が不自然に抜け落ちているという空白があった。
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