もう十分尽くしましたので、これで離縁いたします
名門ヴェルシオン伯爵家に嫁ぎ、冷徹な夫キプリアンと、屋敷に居座る病弱を装った幼馴染ネフェリのために、身を粉にして尽くし続けてきたエウラリア。
贅沢三昧の二人から家政婦のように扱われ、感謝の言葉ひとつかけられない日々が三年続いたある日、エウラリアは心身の限界を迎える。
これ以上、自分の人生をドブに捨てる必要はない。
エウラリアは綿密な準備の末、署名済みの離縁状を執務机に残し、夜明け前の屋敷から静かに姿を消した。
行き先は、活気あふれる自由の港町ヴァルボナ。
そこで彼女の手腕と誇り高く穏やかな人柄を見出したのは、冷徹と恐れられながらも情に厚い大公カジミールだった。
一方、エウラリアを失った伯爵邸は一瞬で崩壊への道を辿り始める。
家計の管理、社交の手配、領地運営の裏付け、そのすべてを無償で回していたのがエウラリアだったと気づいた時には、すでに手遅れだった。
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