ヘルドゥラの神々：漆黒の女王

魂を欠いた娘を取り戻すため、父メドゥルは禁断の神器に縋った。
それが、神の依代となる運命から眼を背けて。

領主の嫡子ガルドとその友、メドゥルの息子ヴァルスの葛藤。
いずれもが “救いたい誰か” のために。

娘の瞳が紅く染まる時、
運命はねじれ、世界《メティル》に闇が訪れる。


　───


　『異形』と呼ばれる怪異が世界を侵食し始める。
　城壁に守られた街フィレアルにも、異変の足音が近づいていた。

　国を追われ旅する事となった領主の嫡子ガルドは、運命に導かれた仲間たちと共に、各地で『異形』と神器にまつわる不穏な兆しを目撃する。

　世界にはかつて、闇の邪神オーヴを封じた五つの神器があった。
　そして今──封印は静かに軋み始めている。

　神を宿した少女カルラ。
　彼女を守ろうとする者、利用しようとする者、そして世界を救うと信じて疑わぬ者たち。

　正義と信仰、愛と支配が交錯する、神と人の戦記ファンタジー。