《完結》「何とかするのがお前の仕事だろう」と言われましたので、すべてを引き継いで出ていきます。
実務に明るいことを見込まれ、子爵家から格上のランフォード伯爵家へ嫁いだヴェロニカ。
ところが夫も義両親も、領地や屋敷の仕事を「得意な者へ任せればよい」と彼女へ押しつけるばかりだった。
申請書は積まれたまま。橋は腐り、水路は崩れかけ、診療所にも領兵にも金が足りない。
ヴェロニカは三年をかけ、破綻寸前だった領地を立て直していく。
そんなある日、子供を婚家へ残した義姉が実家へ戻ってきた。
帽子、宝石、香水、ドレス――傷ついた義姉の気晴らしだからと、家族は高額な請求書を次々と領地の金から支払わせる。
ついに水路の修繕費まで足りなくなり、ヴェロニカが夫へ相談すると、返ってきたのは冷たい一言だった。
「そうならないようにするのが、お前の仕事だろう」
その夜、ヴェロニカは伯爵家を出ると決める。
ただし、自分一人だけ逃げるつもりはない。
領民が困らないよう仕事を引き継ぎ、使用人たちの次の職を探し、侯爵家と公証人へ記録を渡す。自分と側仕えの働き口も決め、家族には何も悟らせないまま、最後の日までいつもどおりに働き続けた。
そしてある朝。
家族が目を覚ました時には、ヴェロニカも、屋敷を支えていた者たちも、すでにいなかった。
残されたのは、誰にでも分かるよう整えられた仕事と、これまで何もしてこなかった者たち自身の署名だけ。
「ヴェロニカを呼べ」
そう命じても、もう彼女は戻らない。
※初日以外は6時・17時の2回投稿です。
独自の世界観なのでご了承ください。
ところが夫も義両親も、領地や屋敷の仕事を「得意な者へ任せればよい」と彼女へ押しつけるばかりだった。
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帽子、宝石、香水、ドレス――傷ついた義姉の気晴らしだからと、家族は高額な請求書を次々と領地の金から支払わせる。
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