美食令嬢は、臆病な料理人と伝説の食材を狩る——わが家に伝わる『未完のフルコース』、最後の一品はわたくしが獲ってきますわ
ヴァルト家には、代々受け継がれた「未完のフルコース」がある。
先祖の美食家が世界中の頂点食材で組み上げた幻の献立——けれど、最後の一品「結びの一皿」だけが、空欄のまま遺されていた。
令嬢ティルダは、令嬢らしからぬ規格外の五感の持ち主だった。ひと匙で食材の産地も鮮度も、作り手が手を抜いたかどうかまで嗅ぎ分ける。そして、底なしの食欲。
「この空欄、わたくしが埋めますわ」——ティルダは、逃げ腰で心配性、けれど厨房に立つと別人のように冴える平民料理人ノアを相棒に、屋敷を飛び出す。
雷雲の中にしか実らない果実。湖の底で千年眠る巨大魚。灼熱の谷に芽吹く香辛料。一品ごとに、命がけの食材ハントと、それを囲む大宴会が待っている。
豪快に魔獣へ飛び込む令嬢と、震えながら包丁を握る料理人。凸凹の二人が、世界で一番おいしい食卓を目指して駆けていく。空欄の「結びの一皿」が、何だったのかを知る日まで。
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