普通の勇者に、僕はなりたかった。

のことだ。僕は眠れないと、いつも母に読み聞かせをねだった。

そんな時、母は決まって伝説の勇者のお話をするのだ。


伝説の勇者、ゼタ・バルセリア。


語られる彼の話に、僕は胸を躍らせた。

カッコいいと思った。


だけれども、自分でも不思議なほどに、僕は彼への憧れを抱かなかった。

カッコいいと思う。それだけだった。


僕が憧れたのは、民衆にも語られない、本の中でも名前しか出てこないような。

魔王を倒して歴史の表舞台から姿を消していくような。


そんな勇者に、僕はどうしようもなく心惹かれた。
ーーー
彼はなぜ、普通の勇者に憧れたのか。
普通の勇者を目指す先には何があるのか。
そんなお話です。
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