『弟〜首を吊った弟を救うため、十八歳の夏からやり直す。今度は私が、あの毒親からあなたを奪って育てるから〜』
身長一八〇センチ近くある弟・直哉の重さに引きずられ、私の細い腕はただ虚しくすり抜けた。
なぜ弟は死を選んだのか。理由は分かっている。毒親からの絶え間ない虐待、学校でのトラブル、そして——何より一番近くにいながら何もできなかった、姉である私の無関心。
「やり直したい。今度は私が、私がちゃんと直哉を育てるから……!」
泥のような暗闇の底で叫んだ切実な願いは、信じられない形で叶えられる。
目を覚ますと、そこは見覚えのある昔の実家。そして鏡に映っていたのは、18歳の私ではなく——のちに私と直哉を虐待することになる、若き日の「母親」の姿だった。
お腹を撫でると、内側からドクンと小さく強い胎動が返ってくる。
ここにいる。まだ生まれてすらいない直哉が。そしてベビーサークルで泣いているのは、一歳だった頃の「私」自身だ。
ギャンブルと女癖に狂うクズな父親、暴言と暴力が当たり前だった地獄の家庭環境。
かつての母親が逃げ出せなかった負の連鎖を、18歳としての記憶と意志を持つ私が、自らの手で叩き潰す。
クズ夫とは即離婚。女手一つで「幼い自分」と「これから生まれる弟」を守り抜く、波乱に満ちたワンオペ再出発。
けれど、必死に孤独と戦う日々の中で出会ったのは、雨の日に温かい手を差し伸べてくれた少年・陸。
「母親」としての仮面を被る私に寄り添う彼の優しさに触れるたび、決して口にしてはならない切ない恋心が胸の奥で芽生えていく——。
「大丈夫だよ、直哉。今度は絶対に、誰もあなたを傷つけさせない——」
母の体に憑依した18歳の姉が、未来の知識と覚悟を胸に、愛する弟と自分自身を救い出すやり直し疑似育児サスペンス!
★完結までのプロット完備/ストック多数あり。毎日18:00に定時更新いたします!
※表紙イラストはAI生成画像を使用しています。
※小説本文はすべて作者本人が執筆・作成しております。
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