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第1部
第16話 決着して、おはようございます
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「お尻!!!」
突然の大声に、思わず振り向いた。
今の、誰の声?
「アカリ!!お尻、弱点!!!多分!!!」
「る、ルーミャ!」
あのルーミャがびっくりするくらい大きく声を張り上げている。体はガクガクと震えているけど、両手をしっかりと伸ばして、フィリアを守るように勇敢に立っていた。
「は……ハハ……」
なんだそれ、カッケーじゃん。
弱点は『お尻』。そうか、確かに、さっき奴は倒れた時に大声をあげた。アレはケツを思い切り地面に打ち付けたから痛くて出した声だったのか。多分。
でかしたぞルーミャ。この戦いが終わったらいっぱいちゅーしようね!!嫌がられても絶対するからね!!
「『ウィンドブーメラン』!!」
魔力を思い切り込めて風のブーメランを勢いよく放り投げた。
え?他にもっとあっただろって?しょうがないじゃん、だって頭回んないんだもん!
ブーメランはぐるぐると回りながらベアナルの横を通り過ぎていくと、ベアナルはニヤリと勝ち誇ったような笑みを浮かべて「グオオォォ!!」と大声を上げたのも束の間、ブスっと、ブーメランの先っちょがベアナルのア〇ルに深々と突き刺さった。
ベアナルは世界の終わりのような情けない表情と「アォッ…ア゛ォ゛ッ゛…」と言う鳴き声を出してから、倒れた。
アカリは恐る恐るその巨体に近付き、ちょんちょんと指先でつつくも、ベアナルが起き上がる気配はない。
「か…勝った………?」
確かめるようにルーミャの方を見ると、勢いよく頷いていた。
そうか、やったのか、私、やれるじゃんか、私。
「よ、良かった」
安心すると力が抜けて『身体強化』が解けてしまう。
しかし不味いなこれ。『威圧』なんてとっくのとうに解いてるし、もう魔力も体力も空っぽだ。四人を無事に家まで送り届けないといけないのに、もう動けない。
必死に足掻いても、視界が段々と霞んでいって、やがて私は意識を手放した。
完全に意識が途切れる間際に、安心する巨体と赤い光が見えた気がした。
――――――
目が覚めると、何か柔らかい感触が手の平にあった。
ほとんど反射的にそれを揉む。とにかく揉む。柔らかいものは揉む。これ鉄則。
「んぅっ…あんっ」
何だかそそる声が揉む度に聞こえてくる。
なんやこれ、おもろいやんけ。
しばらく楽しんでいたら、頭を軽く小突かれる。
「あいたっ!な、なに?」
「なに?じゃない!いつまでシルメリさんのお、おっぱい揉んでるの!」
「ご、ごめん、フィリア………フィリア!?」
思わず飛び上がり、視界の先にいる愛しい人に向かって飛びかかった。
フィリアはアカリに抱き着かれ、勢い余ってそのまま後ろに倒れる。
「ぐふっ!……ちょっ、アカリ、痛いってんむぅっ!?ちゅっ♡じゅちゅっ♡」
有無を言わさず唇を強引に奪われ舌を捻じ込まれるフィリアだったが、アカリを見る目は完全に愛しい人を見るもので、自然とアカリの背中に両腕を回してされるがままに受け入れる。
二人はしばらく楽しんでから、銀の橋を伸ばしながら名残惜しそうに離れる。
互いに目線を交えて、気付けば両者の目から涙が零れ落ちていた。
「よがったよぉ~……フィリアが無事で…わたじ、わだじ、フィリアが死んじゃってたらどうしようって…ひっぐ…えっぐ」
「わだじもぉ…ごめんねアガリぃ……わ、わだじ、アガリをじんじでまでばよがったどにわざわざわだじがよげいなごどじだぜいでぇ~」
「わだじも…いっでからいげばよがったってあどがらきづいでぇ…そでが……いっじょにいげばよがっだ~」
お互いどこまで聞き取れているのか分からない懺悔をしばししてから、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになったまま笑顔を作り、再び深く深く抱きしめ合った。
「アカリ…本当に、ありがとう。大好き」
「私も大好きだよ、フィリア。心配かけてごめん」
「うん……ぐすっ。起きた時、アカリが隣にいなくて、もう世界が終わったかと思うくらい絶望したんだよ?でも、もういいの。アカリとまた会えたから」
「うん。フィリアも、もう勝手にいなくならないでね?私も、ちゃんと言うから」
「うん………ごめんね、アカリ。ありがと」
とか言いながらいちゃいちゃを楽しんでいたら、じーっと自分たちを見つめる複数の視線に気が付いた。
「良かったー!アカリ、目、覚めたんだ!!ホントに無事でよかった!!」
これはイルリ。
「目が覚めて良かった、けど、寝起きから、盛りすぎだと思う」
これはルーミャ。
「あ、あうぅ……あうあうぅ~…」
これはコン。
「私のママなのに………」
これはシルメリ。
顔を真っ赤に染め上げる私とフィリア。
何とも幸せな目覚めと、何とも恥ずかしいひと時でした。
突然の大声に、思わず振り向いた。
今の、誰の声?
「アカリ!!お尻、弱点!!!多分!!!」
「る、ルーミャ!」
あのルーミャがびっくりするくらい大きく声を張り上げている。体はガクガクと震えているけど、両手をしっかりと伸ばして、フィリアを守るように勇敢に立っていた。
「は……ハハ……」
なんだそれ、カッケーじゃん。
弱点は『お尻』。そうか、確かに、さっき奴は倒れた時に大声をあげた。アレはケツを思い切り地面に打ち付けたから痛くて出した声だったのか。多分。
でかしたぞルーミャ。この戦いが終わったらいっぱいちゅーしようね!!嫌がられても絶対するからね!!
「『ウィンドブーメラン』!!」
魔力を思い切り込めて風のブーメランを勢いよく放り投げた。
え?他にもっとあっただろって?しょうがないじゃん、だって頭回んないんだもん!
ブーメランはぐるぐると回りながらベアナルの横を通り過ぎていくと、ベアナルはニヤリと勝ち誇ったような笑みを浮かべて「グオオォォ!!」と大声を上げたのも束の間、ブスっと、ブーメランの先っちょがベアナルのア〇ルに深々と突き刺さった。
ベアナルは世界の終わりのような情けない表情と「アォッ…ア゛ォ゛ッ゛…」と言う鳴き声を出してから、倒れた。
アカリは恐る恐るその巨体に近付き、ちょんちょんと指先でつつくも、ベアナルが起き上がる気配はない。
「か…勝った………?」
確かめるようにルーミャの方を見ると、勢いよく頷いていた。
そうか、やったのか、私、やれるじゃんか、私。
「よ、良かった」
安心すると力が抜けて『身体強化』が解けてしまう。
しかし不味いなこれ。『威圧』なんてとっくのとうに解いてるし、もう魔力も体力も空っぽだ。四人を無事に家まで送り届けないといけないのに、もう動けない。
必死に足掻いても、視界が段々と霞んでいって、やがて私は意識を手放した。
完全に意識が途切れる間際に、安心する巨体と赤い光が見えた気がした。
――――――
目が覚めると、何か柔らかい感触が手の平にあった。
ほとんど反射的にそれを揉む。とにかく揉む。柔らかいものは揉む。これ鉄則。
「んぅっ…あんっ」
何だかそそる声が揉む度に聞こえてくる。
なんやこれ、おもろいやんけ。
しばらく楽しんでいたら、頭を軽く小突かれる。
「あいたっ!な、なに?」
「なに?じゃない!いつまでシルメリさんのお、おっぱい揉んでるの!」
「ご、ごめん、フィリア………フィリア!?」
思わず飛び上がり、視界の先にいる愛しい人に向かって飛びかかった。
フィリアはアカリに抱き着かれ、勢い余ってそのまま後ろに倒れる。
「ぐふっ!……ちょっ、アカリ、痛いってんむぅっ!?ちゅっ♡じゅちゅっ♡」
有無を言わさず唇を強引に奪われ舌を捻じ込まれるフィリアだったが、アカリを見る目は完全に愛しい人を見るもので、自然とアカリの背中に両腕を回してされるがままに受け入れる。
二人はしばらく楽しんでから、銀の橋を伸ばしながら名残惜しそうに離れる。
互いに目線を交えて、気付けば両者の目から涙が零れ落ちていた。
「よがったよぉ~……フィリアが無事で…わたじ、わだじ、フィリアが死んじゃってたらどうしようって…ひっぐ…えっぐ」
「わだじもぉ…ごめんねアガリぃ……わ、わだじ、アガリをじんじでまでばよがったどにわざわざわだじがよげいなごどじだぜいでぇ~」
「わだじも…いっでからいげばよがったってあどがらきづいでぇ…そでが……いっじょにいげばよがっだ~」
お互いどこまで聞き取れているのか分からない懺悔をしばししてから、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになったまま笑顔を作り、再び深く深く抱きしめ合った。
「アカリ…本当に、ありがとう。大好き」
「私も大好きだよ、フィリア。心配かけてごめん」
「うん……ぐすっ。起きた時、アカリが隣にいなくて、もう世界が終わったかと思うくらい絶望したんだよ?でも、もういいの。アカリとまた会えたから」
「うん。フィリアも、もう勝手にいなくならないでね?私も、ちゃんと言うから」
「うん………ごめんね、アカリ。ありがと」
とか言いながらいちゃいちゃを楽しんでいたら、じーっと自分たちを見つめる複数の視線に気が付いた。
「良かったー!アカリ、目、覚めたんだ!!ホントに無事でよかった!!」
これはイルリ。
「目が覚めて良かった、けど、寝起きから、盛りすぎだと思う」
これはルーミャ。
「あ、あうぅ……あうあうぅ~…」
これはコン。
「私のママなのに………」
これはシルメリ。
顔を真っ赤に染め上げる私とフィリア。
何とも幸せな目覚めと、何とも恥ずかしいひと時でした。
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