『〇〇は青山を褒めない』

「給料泥棒」

三年半勤めた会社でそう呼ばれ、青山は仕事を辞めた。 悪口を言われることは辛くない。けれど、誰にも褒められないことには耐えられなかった。

趣味の洋画は、一方的に見るだけで青山を褒めてはくれない。 空っぽになりかけていたある日、彼は見知らぬ街でペットボトルを拾い、老女に感謝される。

「えらいねぇ」

その言葉が、青山のすべてを埋め尽くした。

翌日、青山は髭を剃り、スーツに袖を通す。 就職活動をするためではない。 ただ、ゴミを拾って褒められるために。

承認欲求に食いつくされた男を描く、現代の怪談。
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