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1章 コスで生活

9話 朝市でみんなとお買い物

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「すっげぇ~」

「ほんとね!あそこの露店見て見ましょうよアルミク」


朝の市場に着いてアルミクとサーヤははしゃいでいます、ドミノンとミーオは落ち着いてるけど、キョロキョロしてる、きっとほんとははしゃぎたいんだろうね。
僕が市場に行く事を4人は知っていたので、荷物持ちのお手伝いとして来てくれたんだ、早起きして偉いねって一緒に来たけど、ササピーさんはこんな事なかったって驚いていたよ。


「みんなは何が食べたい?」


ご褒美に何か買ってもいいと提案します、ドミノンとミーオは何でも良いとか返してきます、でもチラチラ見ているお店は分かっていたんだ、だから僕はフルーツを売ってる店に向かいます。
お店の人に今の旬の果物を聞いて4人に1つずつリンゴを買ってあげます、美味しければ食事に入れようって思うんだ。


「姉さんはいらないのかい?」

「僕は後で食べます、どうやらみんな気に入ったみたいです、追加で17個もらえますか?」

「あいよ51メリーだよ」


リンゴ1個は3メリー(銅貨3枚)です、果物は全部そうですけど、品質はあまり良くありません、交渉して端数の1メリーを割り引いてもらっちゃいました。
次も買う約束をしましたけど、あれくらい値切るのは基本ですよね。


「みんな美味しい?」

「「「「うん」」」」


みんなから良い返事を貰い市場を一周です、何処に何が売っているのか確認したかったのもそうですけど、子供たちがリンゴを食べ終わる時間を作りたかったんだ、朝食のリンゴをみんなで分けて持ったけど、重そうにカゴを持っています。
卵やミルクは任せらないと思いました、そして効率よく買う為に市場の奥から買います、奥と言っても孤児院から見てです、王都からしたら中心側ですね、最初は卵やミルクを扱ってるお店です、卵を20個買い100メリーを大銅貨1枚で払います、そしてミルクの入った壺を5本注文して料金を聞いてびっくりです。


「1本20メリーですか?表示と違いますけど」

「姉さん初めてだね、入れ物の壺の値段も入ってるのさ、次に壺を持って来てくれれば表示通り10メリーだよ」


容器の代金が入っていたとは思わず、教えてくれてありがとうっと100メリーを払います、あらかじめ割り引いていると分かれば、その後の値切りは発生しにくい、容器と別にするのはそれが狙いだね、なかなか考えてると感心しながらもチーズは無いのか聞きました、店員のお兄さんは首を傾げています。


「じゃあバターはありますか?」

「バタア?・・・姉さん、それはなんだい?ここには無いよ」


そうですかっと、ちょっとガッカリしながら露店を離れます、僕のカゴに入っていたリンゴをみんなのカゴに入れ、卵とミルクを僕が持ちました、もちろん卵は内緒で収納にしまったんだ、鮮度が命だからね、ミルクも見られてない時に入れます、今はどうしてか注目されてるんです。


「やっぱり僕の服って目立つのかな?」


シスター服が珍しいのか、みんなが見てきます、ウエイトレスの時もそうでしたけど、あれは普通に考えても変でしたよね。
ぼそっと言った僕の疑問は、アルミクたちにも聞こえてたみたいです、周りを気にし始めたので、どうしてなんだろうねっと笑顔で聞きます、どうやら4人は分かってるみたいでヒソヒソと話し始めます。


「どうしたのみんな?」

「エリナ姉わからないのか?ほんとにか?」


分からないよっと答えると、アルミクはため息を付きました、そして僕が綺麗だからだって教えてくれたんです、ビックリして周りを見たけど、目を合わせた人たちは赤くなってる感じです、どうやらほんとみたいですよ。


「そ、そんなに見る程かな?」

「それほどさ、ここは平民区だぜ、エリナ姉みたいな人、普通はいないって」


アルミクに気を付ける様に言われました、僕を攫う人でもいるんでしょうか?ちょっと心配です、主に僕がやり過ぎる方でね。
綺麗だと言われ悪い気はしません、笑顔を絶やさず買い物を続け、みんなには荷物運びを頑張ってもらいました、子供だからきついみたいだよ。


「1リットルだけど・・・壺だから重いね、みんな頑張ってこれからだよ」

「こ、これくらい平気だぜ、なぁサーヤ」

「そ、そうねアルミク、これくらい持てるわ」


やせ我慢がにじみ出ています、みんな11歳と言っても食事を十分に取ってなかったからすごく細いんだ、今日はほどほどにしておくのが良いかとミルクは収納にしまって急ぎます。
キャベツにレタス、白菜にクレソンと葉野菜を買い僕は両手いっぱいです、みんなにもリンゴ以外で玉ねぎを持ってもらったんだ、凄く頑張ってくれたよ。


「「「「た、ただいま~」」」」


台所に着くと、その場にカゴを置いて4人が座り込んでしまったよ、ササピーさんはあらあらって笑ったけど、今後はもう少し考えないとです。
4人には休憩してもらい、僕とササピーさんは調理に入ります、水を適量入れた鍋にミルクを加え、クリームスープをササピーさんに担当してもらいます、白菜やニンジン、玉ねぎを加え煮込んでもらいました。


「あれ?エリナ姉、ベーコンなんて買ってないよな?」


復活したアルミクがフライパンを除いて聞いてきました、火を使ってるから危ないので注意します、そして質問の答えは簡単ですよ。
ベーコンは昨日の酒場の残りです、マスターから格安で買いました、普通ベーコンは200グラムで50メリーしますけど、これは半額の25メリーで買いました、住民たちにもとても安価だから人気があり直ぐに無くなってしまうんだよ。


「600グラム75メリーで分けてもらったんだよ、凄いでしょ」

「へ、へぇ~・・・エリナ姉、平気なのか?」


アルミクに「何が?」っと聞くと、何でもないって顔されて離れていきました、お皿とかを用意してるけど、ほんとに何でしょう。
まぁ気にしても仕方ないです、ベーコンが焼けたらその上に卵を割り焼いて行ったんだ。


「卵は一人2個は欲しかったけど、今日は1個で勘弁ね」

「ん、エリナ姉贅沢」


お皿を持ってくれてるミーオに注意されてしまったよ、僕としては2個は基本です、漫画でも映画でも2個以上ですよね、でも市場の値段を考えても高級品なので仕方ないです。
ササピーさんのスープも完成して、みんなで食事を食べようと席に着きます、いつものお祈りを僕は手を合わせて待っていると、どうしてか今日は始まりません。
あれ?っと目を開けササピーさんを見ると、僕をジッと見ていました。


「ど、どうかしましたかササピーさん?」

「エリナ、みんなで話したのよ、まずはあなたにお礼を言いましょうって、昨日の夕食もとても美味しかった、ありがとうね」


ササピーさんがお礼を言うと、子供たちが大きな声で復唱してきました、僕はすごく恥ずかしくなっちゃったよ、お礼を言われるほどの事はしてません、ここに最初に来てなかったら、僕はどうなってたか分からないんです。
身分証も持ってないのに王都に入っていた、それが分ったらきっと牢獄行きです、そのお礼なんだからまだまだ返せてないよ。


「さぁみんな、冷めないうちにお祈りをしましょう」


僕が戸惑っていると、ササピーさんがお祈りを始めました、僕はそれどころじゃないけど目を瞑ったんだ、食事を始めるとみんなの顔色が良い事に気づきましたよ。


「だむ~」

「あらあら、エリナちょっとエーナをいいかしら、ワタシは手が放せないから、代わりに拭いてあげてくれますか?」


ササピーさんに2歳のエーナのお世話を任されました、ササピーさんはシーヌの口元を拭いてせわしないです。
頼りにされてる、僕は結果が認めらたって嬉しかったです、もっと頑張ろうっとエーナの口元を拭いてあげました。
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