エリュシオンでささやいて

OSHIZUIKIビルシリーズ第2弾
ビル4F エリュシオン

あたしが高校生だった九年前、絶望的だったあたしを天使の歌声が救った。
天使が残したてがかりは「Elysion(エリュシオン)」。

その名前の音楽会社に就職したのは、今から四年前のこと。
そこにいたのは、九年前にあたしをフッた男だった。

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落ちこぼれチーフ
上原 柚(26)
 ×
天才マルチクリエーター
早瀬 須王(26)
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あたしを抱く冥府の主は、切なげにあたしの名前を呼ぶ。
だけど勘違いしてはいけない。
あたしはもう、彼を好きなわけじゃない。
彼があたしを好きなわけじゃない。
これはただの、契約履行――。

「エリュシオンは楽園じゃない。永遠に出口のない死者の監獄のことさ。逃げるのなら今のうち。これ以上、首を突っ込むと……死ぬぞ」

……天使が啼いた夜、あなたはそう…昏い目でささやいた。


同期上司LoveStory

※前作「いじっぱりなシークレットムーン」をご覧下さらなくてもわかるようにしますが、前作を先に読まれた方が、よりわかりやすいと思います。
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