残刀始末奇譚
梗概
時は明治維新期。舞台は文明開化に賑わう江戸より名を転じた新生の都・東京。だが、そんな周囲の殷賑とは別に、大村(おおむら)辰(たつ)馬(ま)は剣の師匠の敵である後藤数右衛門(ごとうかずえもん)の首を暗がりで狙っていた。そして、高まる緊張感の中、実行するも敢え無く失策。大村は後藤を取り逃がしすぐさま追うも、後藤の用心棒が目の前を塞ぐ。その用心棒。かつて大村と道場で轡を並べた同門、由良勢(ゆらせい)十郎(じゅうろう)であった。その偶然の邂逅にして、対決を余儀なくされた大村だったが、実力差如何ともし難くやはり敢え無く絶命する……。
だが、志半ばにして大村、その後藤を打倒する信念は朽ち果てず、その想いがどうしてか由良の刀に憑(つ)いてしまった。
言わずもがな困惑する由良。両者、訳の分からぬままその状況を受け入れていくが、大村には師との間に守らねばならぬ約束があった。
それは師の娘である幸枝を後藤から庇護すること。
師の敵だけが理由で大村は後藤の暗殺を企てのではなく、後藤は師の娘をも歯牙にかけようとしていた。幸枝を守る。その強い思いこそ後藤打倒の礎と信じる大村は、由良が後藤の用心棒であるにも関わらず、後藤を討ち幸枝を守るのだ! と由良にせがみのたうちまわる。無論、由良は頑なに拒むのだが、師の娘を不憫に思う気持ちも一方ではあった。とはいえ事なかれ主義の由良は面倒事には首を突っ込みたくない。大村と由良の間では討つ、討たないの問答が続く。しかし、刀を通して由良の感情を汲み取る大村は、由良が抱える心意に気づき始める。由良の本当の想い、そして、秘められた過去……。衝突しあいながらも徐々に分かり合う二人。そんな折、事態は急展開。幸枝が後藤にさらわれてしまう。予断を許されない切羽詰った状況に置かれた由良は、もはや躊躇する暇もなく意を決し、果たして凄腕用心棒が待つ後藤の屋敷へと向かう羽目になる。幸枝を救うために。
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だが、志半ばにして大村、その後藤を打倒する信念は朽ち果てず、その想いがどうしてか由良の刀に憑(つ)いてしまった。
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それは師の娘である幸枝を後藤から庇護すること。
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