【完結】あなたの愛した令嬢の身代わりは、もう辞めます
「アメリアなら、そんな事はしない」
伯爵令嬢エレノアには、幼い頃から瓜二つだと言われ続けてきた女性がいる。
公爵レオンハルトが、誰よりも愛した婚約者――アメリア。
彼女は数年前、突然この世を去った。
最愛の女性を失ったレオンハルトは、今も彼女を忘れられずにいる。
そんな彼の前に現れたのが、アメリアと驚くほどよく似たエレノアだった。
莫大な報酬と引き換えに、エレノアはレオンハルトとの婚姻を受け入れた。
周りからはアメリアの代わりとして求められるエレノア。
アメリアが好きだったドレスを着る。
アメリアが愛した香水を纏う。
彼女の好きだった料理を覚え、彼女の話し方や仕草まで真似る。
…それでも、いつか彼が、自分を見てくれるかもしれない。
――そんな淡い期待を抱いて。
けれど。
「違う。アメリアはそんな笑い方をしない」
「アメリアなら、こんなことは言わない」
「……どうして君は、アメリアじゃないんだ」
どれだけ頑張っても、レオンハルトが見ているのはエレノアではない。
彼の目に映っているのは、いつだって死んだアメリアだけだった。
そして二年後。
契約期間の終わりを迎えたエレノアは、彼に告げる。
「もう、終わりにしましょう」
「……待て。もう少しだけ、私のそばに居てくれ。君はますます、アメリアに似てきた」
その言葉を聞いた瞬間、エレノアは笑った。
――私は、いつまでアメリア様の代わりでいればいいのでしょう?
彼女が生き返るまで?
それとも、あなたが私を彼女だと思い込めるようになるまで?
「私はアメリア様ではありません」
「あなたが愛した女性の代わりでもありません」
「私は――私です」
そう言って、彼女は公爵家を去った。
そして初めて、レオンハルトは気づく。
失ったのは、愛する女性の身代わりではない。
自分を誰よりも理解し、支えてくれていた――一人の女性だったのだと。
「エレノア。戻ってきてくれ」
「……どうしてですか?」
「アメリアの代わりなんかじゃない。君を愛している」
「その言葉は、私が公爵夫人であった頃に聞きたかったです」
遅すぎた愛と、傷ついた令嬢。
一度壊れてしまった二人の関係は、再び動き始めるのか? それとも───?
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