水源を継ぐ家
幽霊よりも、親族が怖い。
弟が結婚を告げた日、古い佐伯家の親族会議で問われたのは、相手の人柄ではなく、その血筋だった。
四つの家の間で、長く婚姻を繰り返してきた一族。
外から嫁いだ亡き母も、かつて身辺を調べられていた。
祖父が決して触れさせなかった桐箱。
母の箪笥に残された調査書。
そして、山の奥にある古い水源。
家族の過去を確かめようとするたび、親族たちは口を閉ざし、同じ言葉を繰り返す。
「余計なことを調べるな」
まだ、何も調べていないのに。
優しかった祖父も、何かを隠していたのだろうか。
古い一族に受け継がれてきたものは、いったい何なのか。
幽霊も怪異もいない。
それでも、この家は怖い。
血筋と水源をめぐる、静かな因習ホラー。
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