【完結】お姉様の婚約者

 姉が失踪した。それは結婚式当日の朝のことだった。
 残された私は家族のため、ひいては祖国のため、姉の婚約者と結婚した。
 
 サイズの合わない純白のドレスを身に纏い、すまないと啜り泣く父に手を引かれ、困惑と同情と侮蔑の視線が交差するバージンロードを歩き、彼の手を取る。
 誰が見ても哀れで、惨めで、不幸な結婚。
 けれど私の心は晴れやかだった。

 だって、ずっと片思いを続けていた人の隣に立てるのだから。


 ーーーーーそう、だから私は、誰がなんと言おうと、シアワセだ。
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