鯉綺譚
むかし鹿島清兵衛という男がいた。
江戸から大正に生きた奔放な男で、現在の銀座六丁目に百五十坪の二階建て写真館を建てたり、列車一両を買い取って座敷列車に仕立て直して京都へ漫遊したり、隅田川船上で百物語を開催したりと、今でも語り継がれている男である。
「僕は鹿島清兵衛の子孫である」
と鹿島さんは云った。
僕のことは鹿島と呼んでくれ、と。
鹿島さんの本当の名を、私は知らない。
ーーこれは夢か。あるいは先輩の手のひらの上で踊っているだけなのか……
江戸から大正に生きた奔放な男で、現在の銀座六丁目に百五十坪の二階建て写真館を建てたり、列車一両を買い取って座敷列車に仕立て直して京都へ漫遊したり、隅田川船上で百物語を開催したりと、今でも語り継がれている男である。
「僕は鹿島清兵衛の子孫である」
と鹿島さんは云った。
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謎めいた登場人物と不気味さが漂うストーリーが魅力的でした。
「なんだか水臭いぜ」という台詞が好きですね。そのまま水の臭いを示しているところに妙な面白みを感じました。
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