死濁の境界 ー海はまだ生きているー

海は決して忘れない。拾えば、必ず「代わり」を奪いに来る。

恩師の裏切りにより、古い掟のある岬の暗い海へ沈められた建築家・篠田。彼が境界の地で辿り着いたのは、失われたものを蒐集し続ける異様な「蔵」だった。
そこには、奪われたはずの自らの誇り——十年の歳月が詰まった設計図までもが並んでおり——

土地の禁忌と人間の業が交錯するなか、人は所有の果てに何を選択するのか。
海底に沈む旅館、消えない潮の香り、そして静かな絶望。
波がさらうのは、物か、それとも——
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