月が満ちる夜に、君をおもう
天体望遠鏡の工房で働く職人気質の青年・蒼は、星空を眺めることが唯一の趣味だった。人付き合いが苦手で、いつも静かに夜空を見上げては、遠い宇宙に思いを馳せていた。ある日、工房の前に置かれた壊れた天体望遠鏡を修理してほしいと、一人の女性が訪れる。彼女の名前は、月子。満月のような丸い笑顔を持つ彼女は、天体観測とは無縁の、賑やかなイベントプランナーだった。
修理の依頼をきっかけに、月子は工房にたびたび顔を出すようになる。最初は億劫に感じていた蒼も、屈託のない笑顔で話しかけてくる月子に、少しずつ心を開いていく。ある夜、工房の屋上で修理の終わった望遠鏡を覗きながら、月子は語る。「夜空は寂しそうに見えるけど、星一つ一つには、誰かの願いが込められているんだって」。その言葉に、蒼は心を揺さぶられる。
しかし、月子には余命わずかな秘密があった。彼女は、最後の思い出として、幼い頃に見た美しい流れ星をもう一度見たいと願っていたのだ。そのことを知った蒼は、流星群が最もよく見える場所を探し、月子を連れ出すことを決意する。
二人は、流れ星を探す旅に出る。満天の星空の下、語り合ううちに、二人の距離は急速に縮まっていく。しかし、喜びと同時に、別れの時が刻一刻と迫っていることを二人は知っていた。
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