現代ダンジョンで戦った魔物の動きを『再演』できる俺、廃遊園地に世界一の冒険訓練場を作る〜安全に練習、本番は仲間と実力で攻略します〜
ダンジョンが現れて四十年。閉園した星輪遊園地の片隅、旧案内館の一室を借りる元訓練補助員・柊直人には、ちょっと変わった力がある。
自分で相手をして生きて戻った魔物の動きと足場を、八メートル四方の部屋の中でだけ、痛みを抑えた模擬体として『再演』できるのだ。
経験値もスキルも増えない。一度に使えるのは二人だけで、魔石も食う。前の職場では「商売にならない」と、契約を更新されなかった。
それでも直人は、難しい魔物ほどわくわくする挑戦好き。夢は、怖くて冒険をやめた人も一流の探索者も本気で遊べる、世界一の冒険施設を作ること。そして自分も最難関へ挑み、新しい遊びを持ち帰ること。
講習の補助中、低層で石棘トカゲに退路をふさがれた直人は、すくんだ初心者・真崎伊吹に「戦う」以外の役目を選ばせ、自分の槍で一匹を仕留める。その結果を見た中堅探索者・志野晴香は、力の使い道を見抜いて言った。「私にも使わせて。ちゃんと払う」
――ただし彼女は、直人が用意した最短の正解をなぞってくれない。
即興で記録の裏をかく晴香と、負けてもなぜか楽しそうな直人。互いを読み切れないからこそ、二人は惹かれ合っていく。
大家の古賀七緒に料金と休みをきっちり要求されながら、初めての客を迎えた小さな訓練場。だが低層の奥に、記録にない光を返す変異個体――鏡甲トカゲが現れる。
映像をいくら集めても再演は作れない。八メートルの部屋に、二十メートルの通路は収まらない。既存の訓練会社は「最新の変異にも対応済み」とうたい続ける。
記録できたのは、尾の予備動作と最初の数歩だけ。足りない部分は、伊吹が聞き分ける足音と、合図を待たない晴香の判断、そして自ら反射板を担いで攻撃を誘う直人の一手で埋める。
協会の正規班と挑む、現実のボス戦。その勝利が、小さな部屋の価値を街に証明する。
安全な練習と、命がけの本番。その両方を本気で楽しむ、現代ダンジョン訓練場ファンタジー。
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