湯漬け

 永禄八年、葉月。
 伊勢国鈴鹿、高岡城。
 この城に、滝川一益率いる織田軍と戦い、見事に退けた武将がいた。
 伊勢国神戸友盛家臣、山路弾正少弼。
 北勢四十八家が次々に落城の憂き目に遭うなか、彼は頑強に渡り合い、策を弄し、ついには織田軍を撤退させるに成功する。
 彼は所望す。「腹が減った。湯漬けをくれ」と。

―――――――
 山路弾正=伊勢国武将。生年不明。伊勢国国人神戸友盛の家臣。信長の伊勢侵攻に対し、頑強に抵抗し、策を弄して退けたとされる。二度目の侵攻で、神戸氏は織田信長の三男、織田信孝を養子に迎え入れ和睦。元亀三年、信孝が元服し家督を継ぐさい、謀反の疑いをかけられ自害に追い込まれる。高岡城は現在廃城。
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