E級探索者のダンジョン救難員 ~戦闘向きじゃない外れ能力《固定》で死地から人を連れ帰っていたら、いつの間にか「最強の救難員」と呼ばれていた~
ダンジョンが世界に現れて、八年。
探索者が魔物を倒し、配信者がその攻略を何万人もの視聴者へ届ける時代。
その裏側には、帰ってこない人間を迎えに行く仕事がある。
水城湊、二十六歳。
探索者ランクはE級。
だが本業は、一級ダンジョン救難員。
彼の固有能力《固定》は、触れた物を数秒間その場に止めるだけ。
炎も出ない。
身体能力も上がらない。
魔物を一撃で倒すこともできない。
戦闘には向かない「外れ能力」。
湊自身も、それで困ってはいなかった。
崩れかけた瓦礫を三秒止められれば、その下から一人を引きずり出せることがあるからだ。
そんなある日、人気A級探索者・白石凛花の生配信中に大規模な崩落事故が発生する。
足場を失い、深い大空洞へ落下する凛花。
救助に入った湊は、いつもと同じように《固定》を使った。
その瞬間。
落下していた人間が、空中で止まった。
救助映像は全国へ拡散する。
「これのどこがE級なんだ?」
「《固定》って、こんな能力だったか?」
「誰だよ、この救難員」
周囲が騒ぎ始めても、湊にはあまり関係がない。
次の救難要請が入れば、装備を背負って現場へ向かう。
崩落。
水没。
毒。
通信断。
能力暴走。
大量遭難。
強い魔物を倒せば終わるとは限らない死地で、必要なのは「敵を倒す力」だけではない。
八年前。
瓦礫の下に取り残された十八歳の湊を、一人の救難員が迎えに来た。
今度は、自分が迎えに行く番だ。
ただ一つ、湊自身もまだ知らないことがある。
《固定》は、本当に「物を止めるだけ」の能力なのか。
これは、戦う英雄たちの陰で命をつなぐE級探索者が、今日も誰かを生きて地上へ連れ帰る物語。
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今度は、自分が迎えに行く番だ。
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