わたしたちはまだ、会っていない。
「わたし」と「あなた」は、まだ会っていない。でも、きっともう、出会ってしまっていた。
高校生の久遠澄乃は、誰にも見せない詩を鍵アカウントに綴る日々を送っていた。そんな彼女に、ある日届いた一通のDM。名前も顔も知らないその相手とのやりとりは、言葉だけで繋がる、かけがえのない居場所となっていく。
澄乃の友人・慧は、明るく振る舞いながらも、本当の自分を誰にも見せられずにいた。先輩の駿は、言葉を交わさずに生きることを選び、兄・凛太郎はかつて感情をぶつけすぎて人を傷つけたことから、言葉を封じていた。
SNSという匿名の世界のなかで、それぞれが「語れなかった感情」と向き合いながら、少しずつ、交差していく。誰かの詩に心を揺らされ、誰かの投稿に自分を見出し、名もなき言葉が確かに「声」になる。
それは、“消えたアカウント”の謎をめぐる物語。
──「言葉が届いた」その瞬間、わたしたちははじめて、出会い直す。
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