婚約者を妹に奪われ、家出して薬師になった令嬢は王太子から溺愛される。

二位関りをん

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ジュナ視点③ お姉様が悪いのよ

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 朝。目が覚めたらベッドにはジョージ様はいなかった。ベッドには私だけしかいない。

「ジュナ様おはようございます」

 メイドが私の真正面から、私を起こしに声をかける。

「ジョージ様は?」
「先に起きられて、食堂におられます」
「なんで早く起こさなかったの?!」
「申し訳ありません!」

 はあ、イライラする。私を置いていくなんて。私はメイドが引き留めるのを無視して寝間着のまま食堂に向かう。

「ジョージ様!」
「ジュナ、おはよう」

 ジョージ様は食堂にて、何やらお母様とお父様と話をしていたようだ。

「ジョージ様、何を話してらしたの?」
「ああ……お義父様、お義母様、話しても大丈夫です?」
「私から話そう。ジュナ、ジャスミンがいなくなったのは知っているかね?」
「結婚式に来なかっただけじゃない」
「いや、家出したみたいなんだ」
「家出ですって?」

 それが、私と何か関係があるというの?

「噂を聞く限り、宮廷で薬師として働いていると聞いた」
「それが何なの? 私には関係ないじゃない」
「もしジャスミンが勝手に王太子殿下から寵愛を受けたら、こちらの立場も困るのだよ。私達の預かり知らない所で話を進められるのは困る。それに私としてはジャスミンではなくジュナを王太子に嫁がせたかったのだが」

 お父様の溢れた本音に、ジョージ様が唇を悔しそうに噛んでいる。見るからに相当悔しいようだ。何か口をぱくぱくさせて話しているように見えたが、私には聞きとれなかった。
 その後、両親はユングミル城までいったが、噂は違うとして屋敷にとぼとぼと帰って来た。

「お姉様なんて、忘れましょう」

 私は王太子殿下から叱責を受け傷心の両親にそう言った。
 だっていなくなったのはお姉様の方だもの。

「ね?」
「ジュナ……そうだな、美しいお前の言う通りだ」
「そうよ、あなた。ジュナの言う通りですわ」

 そうだ。全部お姉様が悪いのだ。私は悪くない。

「お腹すいたわ! 朝ご飯はまだなの?!」
「ジュナ様申し訳ありません! 今準備をしている所でございます!」
「もう! さっさとしなさいよ!」
「ジュナ落ち着いて。朝ご飯くらいすぐに出来るさ。だから怒らないでおくれ」
「ジョージ様……そうね」

 朝ご飯はスクランブルエッグにベーコンとパン。私は普通のパンは好きではないので、パンケーキにはちみつとマーガリンをかけたものを頂く。

「いただきまーす」

 パンケーキの甘さは私を裏切らない。スクランブルエッグもベーコンも温かくて美味しい。 
 欲を言えば、スクランブルエッグはもっと温かいのが欲しかったけれど。

「ごちそうさまでした」
「ジュナ、着替えてお化粧をしたら教会に行くわよ」
「えーー。めんどくさい。お母様が1人で行けばいいじゃないの」
「だめよ、神父様にご挨拶に行かなきゃ。ジョージもお願い出来る?」
「はい、ジュナ、一緒に行こう」

 ジョージ様も行くなら仕方ない。

(はあ……退屈)
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