悪役令嬢だった彼女についての覚え書き

それは悲しみというより、むしろ一種の贅沢だったのかもしれない。日々の喧噪の中で、誰かの存在を「思い出す」という行為ほど、密やかで贅沢な時間はない。

◆◆◆

王太子との婚約を破棄され、「悪役」として物語から退場した彼女。

残された私は、その舞台にひとり立ち尽くす。ただの友人として、ただの照明係として。それでも記憶のなかで彼女は、今も確かに呼吸している。

これは、悪役令嬢の友人の記憶をなぞりながら辿った、ささやかな巡礼の記録。
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