猫の花泥棒

花屋の店主を悩ませていた「折られた花の大量被害」の犯人は、人間ではなく──一匹の猫だった。

だがその猫は、盗んだ花をどこかへ持ち去っていた。追っていくと、猫が寄り添っていたのは、路地裏にひっそりと倒れていた青年だった。

花屋、猫、青年。互いに踏み込みすぎず、距離を保ちながら、なぜか同じ“外れ”の場所に集まってしまう三者。

悪意ではなく、生き方の結果として重なった匂いと生活が、静かに、少しずつつながっていく。

駅外れの細い路地で生まれる、言葉少ない“外れ者たちの共存ドラマ”。
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