62 / 66
第4章 大企業の御曹司 4
しおりを挟む
蓮と栞のお見合い当日―
「全く・・・結局お見合いするつもりなのね・・・?あれ程私が反対したって言うのに・・・。」
まどかはお見合いが行われる新宿にあるホテルのエントランスに置かれたソファに座り、サングラスをかけて観葉植物の陰に隠れるように蓮がやって来るのを待っていた。
一方、その頃簾も同じ場所でまどかから少し距離を置いた場所で栞がやって来るのをやきもきしながら待ち構えていた。
「くっそ~・・・栞の奴・・俺というものがありながら・・・。」
しかし、これは簾の勝手な言い分である。栞と簾はあくまで幼稚園の頃からの腐れ縁で、2人はあくまで幼馴染、付き合った事など一度もない。・・少なくとも栞はそう考えていた。
こうして、まどかと簾は2人の見合いを邪魔する目的で、同じ場所でまどかは蓮を・・そして簾は栞がやって来るのを待ち構えていた―。
****
午前11時―
「ここか・・・見合いの場所は。」
半そでポロシャツ姿にボトムスというラフな蓮が見合いの場所であるホテルへとやって来た。
(確か、待ち合わせ場所は1Fにあるカフェ『ブレイク』っていう店名だったな・・・。)
蓮はエントランスでじっと自分を見張っているまどかに気付かない様子で、待ち合わせ場所にあるカフェに向かった。
(お兄ちゃん・・・見ていなさいよ。お見合いなんかぶち壊してやるんだから!)
まどかはスクッと立ち上がると、距離を空けて蓮の後を追った。
「あ!栞・・やってきたなっ?!」
蓮がカフェへ向かった約5分後―
栞がホテルへ現れた。
品のよい、紺色のワンピース姿に同じく青いパンプスを履き、ショルダーバックを下げた栞を見て簾は悔しそうにつぶやく。
「くっそ~・・・栞の奴・・・俺と会う時はあんなお洒落な恰好してきたことなんかないのに・・・。」
簾が知る栞は、いつもビジネススースに身を包んでいるか、ジーンズ姿と言うラフな姿しか見せて来なかったので不愉快で仕方がない。
「あの男の為か?俺と同じ名前のあいつとの見合いの為にお洒落してきたって言う訳か?」
しかし、これは簾のあまりにも身勝手な考えである。仮にもホテルのカフェで見合いなのに普段着で来れるはず等ないのだから。
栞も簾に気付くことも無く、目の前を素通りしてカフェへと向かっていく。
そしてその後を同じくつける簾。
こうして4人の思惑が絡んだ見合いが始まることとなった―。
一足先にカフェへやって来た蓮の元へウェイターが近づいて来た。
「いらっしゃいませ。」
「席の予約をしていた各務と申しますが。」
蓮はウェイターに尋ねる。あらかじめ見合い場所が決まった時に蓮は自分の名前で席を予約していたのである。
「各務様ですね?お待ちしておりました。お席にご案内致します。」
「お願いします。」
そしてウェイターに案内されて、蓮は大きな掃き出し窓の傍にある丸いテーブル席に案内された。窓からはホテル内にある美しい庭園が見える。
「こちらの席になります。」
「庭が良く見える素敵な席ですね?どうもありがとうございます。」
礼儀正しい蓮は頭を下げると、椅子に座った。
「それでは失礼致します。」
ウェイターは頭を下げると下がって行った。蓮が席に座って窓の外の庭を眺めていると、そこへ栞が現れた。
(あ・・・彼が各務さんね?)
栞はすぐに気が付いた。2人は事前に互いの顔写真は確認していた。
(流石にハンサムね。)
各務蓮と言えば、大企業の御曹司であり・・またその容姿もビジネス誌で話題になるほどであった。整った顔立ちに高身長・・。
(まあ・・・お父さんが薦めるだけの事はあるわね・・。)
栞は蓮の待つテーブル席へと向かった―。
「全く・・・結局お見合いするつもりなのね・・・?あれ程私が反対したって言うのに・・・。」
まどかはお見合いが行われる新宿にあるホテルのエントランスに置かれたソファに座り、サングラスをかけて観葉植物の陰に隠れるように蓮がやって来るのを待っていた。
一方、その頃簾も同じ場所でまどかから少し距離を置いた場所で栞がやって来るのをやきもきしながら待ち構えていた。
「くっそ~・・・栞の奴・・俺というものがありながら・・・。」
しかし、これは簾の勝手な言い分である。栞と簾はあくまで幼稚園の頃からの腐れ縁で、2人はあくまで幼馴染、付き合った事など一度もない。・・少なくとも栞はそう考えていた。
こうして、まどかと簾は2人の見合いを邪魔する目的で、同じ場所でまどかは蓮を・・そして簾は栞がやって来るのを待ち構えていた―。
****
午前11時―
「ここか・・・見合いの場所は。」
半そでポロシャツ姿にボトムスというラフな蓮が見合いの場所であるホテルへとやって来た。
(確か、待ち合わせ場所は1Fにあるカフェ『ブレイク』っていう店名だったな・・・。)
蓮はエントランスでじっと自分を見張っているまどかに気付かない様子で、待ち合わせ場所にあるカフェに向かった。
(お兄ちゃん・・・見ていなさいよ。お見合いなんかぶち壊してやるんだから!)
まどかはスクッと立ち上がると、距離を空けて蓮の後を追った。
「あ!栞・・やってきたなっ?!」
蓮がカフェへ向かった約5分後―
栞がホテルへ現れた。
品のよい、紺色のワンピース姿に同じく青いパンプスを履き、ショルダーバックを下げた栞を見て簾は悔しそうにつぶやく。
「くっそ~・・・栞の奴・・・俺と会う時はあんなお洒落な恰好してきたことなんかないのに・・・。」
簾が知る栞は、いつもビジネススースに身を包んでいるか、ジーンズ姿と言うラフな姿しか見せて来なかったので不愉快で仕方がない。
「あの男の為か?俺と同じ名前のあいつとの見合いの為にお洒落してきたって言う訳か?」
しかし、これは簾のあまりにも身勝手な考えである。仮にもホテルのカフェで見合いなのに普段着で来れるはず等ないのだから。
栞も簾に気付くことも無く、目の前を素通りしてカフェへと向かっていく。
そしてその後を同じくつける簾。
こうして4人の思惑が絡んだ見合いが始まることとなった―。
一足先にカフェへやって来た蓮の元へウェイターが近づいて来た。
「いらっしゃいませ。」
「席の予約をしていた各務と申しますが。」
蓮はウェイターに尋ねる。あらかじめ見合い場所が決まった時に蓮は自分の名前で席を予約していたのである。
「各務様ですね?お待ちしておりました。お席にご案内致します。」
「お願いします。」
そしてウェイターに案内されて、蓮は大きな掃き出し窓の傍にある丸いテーブル席に案内された。窓からはホテル内にある美しい庭園が見える。
「こちらの席になります。」
「庭が良く見える素敵な席ですね?どうもありがとうございます。」
礼儀正しい蓮は頭を下げると、椅子に座った。
「それでは失礼致します。」
ウェイターは頭を下げると下がって行った。蓮が席に座って窓の外の庭を眺めていると、そこへ栞が現れた。
(あ・・・彼が各務さんね?)
栞はすぐに気が付いた。2人は事前に互いの顔写真は確認していた。
(流石にハンサムね。)
各務蓮と言えば、大企業の御曹司であり・・またその容姿もビジネス誌で話題になるほどであった。整った顔立ちに高身長・・。
(まあ・・・お父さんが薦めるだけの事はあるわね・・。)
栞は蓮の待つテーブル席へと向かった―。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
107
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる