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送り狼的な彼
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「なので――。御神本さんと花々里の婚姻届の同意書の欄、俺とあの人との決着がつくまで埋めないでいて欲しいんです」
お願いします、とビシッと頭を下げる寛道に背中を押されて、何故か私までお母さんにお願いするみたいにお辞儀させられてしまった。
お母さんはさすがにびっくりしたみたいで、しばらく何も言わずに私たちを見比べていたのだけれど。
ややしてポツン、と。
「まぁ、どうしましょ! 花々里ちゃんってばモテモテねっ♥」
って。
その反応はどうなの?って思います!
で、結局……同意書の欄については「わかったわ」らしい。
***
「これでお前、頼綱に勝手に抜け駆けされる心配なくなっただろ」
帰りの車中で寛道からそう言われた私は、長いことギュッと握られ続けて赤くなった手首をさすりながら寛道を見つめた。
そうしてようやく「あ……!」と気がついた。
「あ、ありがとう、寛道! 私のためにお芝居してくれたのねっ!」
迫真の演技で、私もすっかり寛道が本気なんじゃないかと騙されそうになっちゃった!
寛道の〝機転〟のおかげで、もし頼綱がこっそりお母さんに婚姻届にサインをもらいに行ったとしても、きっとお母さんは断ってくれる。
そういう筋書きだよね?
寛道ってば、そのために手の込んだライバル宣言までしてくれたんだ。
何て優しいの!
「私、寛道のこと、鰻の次ぐらいに好きかも知んないっ!」
ただの粘菌バカだと思っていてごめんなさいっ!
お礼に、寛道に対する好き、かぼちゃから大好物の鰻に迫るところまでグレードアップしてあげた。
***
かぼちゃといえば、夜にお母さんから「寛道くんの言ってたかぼちゃってなぁに?」とメールが入ってきて、「あ、それね。鰻に近付けといたよ!」と返信をして、さらにお母さんを混乱させたらしいのは余談です。
お願いします、とビシッと頭を下げる寛道に背中を押されて、何故か私までお母さんにお願いするみたいにお辞儀させられてしまった。
お母さんはさすがにびっくりしたみたいで、しばらく何も言わずに私たちを見比べていたのだけれど。
ややしてポツン、と。
「まぁ、どうしましょ! 花々里ちゃんってばモテモテねっ♥」
って。
その反応はどうなの?って思います!
で、結局……同意書の欄については「わかったわ」らしい。
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「これでお前、頼綱に勝手に抜け駆けされる心配なくなっただろ」
帰りの車中で寛道からそう言われた私は、長いことギュッと握られ続けて赤くなった手首をさすりながら寛道を見つめた。
そうしてようやく「あ……!」と気がついた。
「あ、ありがとう、寛道! 私のためにお芝居してくれたのねっ!」
迫真の演技で、私もすっかり寛道が本気なんじゃないかと騙されそうになっちゃった!
寛道の〝機転〟のおかげで、もし頼綱がこっそりお母さんに婚姻届にサインをもらいに行ったとしても、きっとお母さんは断ってくれる。
そういう筋書きだよね?
寛道ってば、そのために手の込んだライバル宣言までしてくれたんだ。
何て優しいの!
「私、寛道のこと、鰻の次ぐらいに好きかも知んないっ!」
ただの粘菌バカだと思っていてごめんなさいっ!
お礼に、寛道に対する好き、かぼちゃから大好物の鰻に迫るところまでグレードアップしてあげた。
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かぼちゃといえば、夜にお母さんから「寛道くんの言ってたかぼちゃってなぁに?」とメールが入ってきて、「あ、それね。鰻に近付けといたよ!」と返信をして、さらにお母さんを混乱させたらしいのは余談です。
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