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19.始まりの日*

日織さんのお腹、どうにかなってしまいそうですね

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挿入いれますね?」

 一応一言断りを入れて、日織ひおりうなずくのを確認してから、ゆっくりと日織の隘路あいろを押し拡げるようにして彼女の中に侵入していく。

「ひゃ、あぁんっ」

 それが堪らないみたいにギュッと修太郎にしがみついてくる日織の膣壁が、懸命にひくついて修太郎を温かく包み込んでくれるのが物凄く気持ちよくて。

「く、っ……」

 薄い被膜が一枚ないだけで、こんなにも感じ方が違うのかと、初めての感覚に思わず吐息が漏れた修太郎だ。

 それに耐えながら根元までゆっくりと、たかぶる屹立を埋めたら、いつもよりギュッと全体が圧迫された感じがあって。

(子宮口が……降りてきてる?)

 そう思った修太郎だ。

 今までも、ゆるゆると突き動かしているうちにそうなることはままあったけれど、初っ端からこんなことはなかったから。

 日織もいつも以上に興奮してくれているのかな?と思って嬉しくなる。

 と、修太郎に抱きついたまま日織が、「あ、ぁんっ、そこ……っ」と熱く濡れた吐息を落として。

 修太郎は日織のブラのホックを外しながら日織の声に聞き耳を立てる。

「ここが、……気持ちいい、ですか?」

 聞くまでもなく、最奥の柔らかな壁をゆるゆると小刻みに突くたび、日織ひおりの中がうねくるように修太郎を締め付けてくるから、が感じるポイントだというのは修太郎にも分かり切っていた。

 実際、修太郎もそうするたび日織の中が自分に絡みついてくるから、堪らなく気持ちいい。

「ひゃ、ぁんっ、……しゅぅたろぉ、さっ、そこ、……ダメぇっ。変、なの、ですっ」

 日織は早く動かすより、ゆっくりじっくり、彼女の中で修太郎が出たり入ったり……動いているのを認識させるような動き方をした方がより乱れることを修太郎は経験から知っている。

 自分はどういう動きでも、〝今、僕は大好きな日織さんの膣内なかにいるんだ〟と思うだけでいつだって爆発寸前になれるので何ら問題はない。

 むしろ――。

「んっ、っ、そんなっ、……締め付け、ないでっ? 持たなく、なってしまうっ」

 日織が感じてくれれば感じてくれるほど中の締め付けが強くなるので、すぐに果ててしまいそうで困るくらいだ。

「しゅ、たろぉさっ、……もぉ、私っ」

 言って、日織がギューッと修太郎にしがみついてくるのと同時、彼女の身体が小刻みにピクピクと揺れて。


「僕も、……もうっ」

 修太郎の精を吸い上げたいみたいに内壁がキューッと奥に向かって収縮を繰り返すから、修太郎もたまらずかされてしまう。

「ふぇっ、な、かにっ、熱いの……がっ?」

 日織ひおりがまるで修太郎の吐精を感じたみたいに大きく瞳を見開くから。

 修太郎はそんな日織を抱きしめて「はい、いま、日織さんの中に初めて……出させて頂いて、います……っ」と言葉にして彼女にそれを認識させる。

 途端、日織が嬉しそうにふんわり顔をほころばせて、「嬉しい……っ」とつぶやいて。

 目尻からポロポロと、嬉し涙をこぼした。


***


 日織ひおりの小さな身体に、そのお腹は本当に大きく見えて。

「……しんどくないですか?」

 日織の足元にひざまずいて、自分のものより五センチ以上も小さな足に、浮腫むくみ防止の着圧靴下を履かせてやりながら、修太郎は心配そうに眉根を寄せる。

「もちろん、重たくって苦しくってすっごくしんどいですっ。靴下だってお腹が邪魔で自分で履けませんし」

 いつも履かせてくださって有難うございます、と続けながら、お困り感満載の言葉とは裏腹。

 クスッと幸せそうに笑うと、日織は「でも」と続ける。


「でもっ、このお腹の中に修太郎さんと私の赤ちゃんがいるんだって思ったら、すっごくすっごく幸せで……不便なことさえも嬉しくてたまらないのですっ」

 スリスリとお腹をさする日織ひおりを見て、修太郎も彼女の小さな手に自分の手を重ね合わせずにはいられない。

「それも二人一気に、ですしね……」

 修太郎のつぶやきに呼応するように日織越し、ふたりの手をポコッと蹴り上げてきたのは、果たしてだろうか?


 日織のお腹の中にはいま、男の子と女の子の双子の胎児が入っている。

 それじゃなくても小柄な日織だ。

 長身の修太郎の遺伝子も一緒に受け継いだお腹の子らは、きっと彼女にとっては大きすぎるほど順調に育っている。


 お風呂の時に服を脱ぐと、自分のおへそが内側からグッと押し出されて出べそになっているように見えるのが、何だか可笑しくてたまらない日織だ。

 臨月まではまだもう少し間があるけれど、(私のお腹の皮、破れずに持つかしら?)と時折不安になってしまう。

 それはどうやら修太郎も同じようで。

「早く生まれてこないと日織さんのお腹、どうにかなってしまいそうですね」

 いつの間にか日織の手を離れて載せられた修太郎の手の温もりが、布地越しにホワホワと感じられるのが心地よい。
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