「水の話はもういい」と夫が言うので、来年の雨の話はしないで離縁します 〜十年つけた水帳は持って出ます。隣の辺境伯は、それを毎朝聞く人でした〜
伯爵夫人セリーヌには、十年続けてきた仕事があった。領内四十二本の井戸と三つの川の水位を毎朝測り、帳面につけ、水門を開ける日を決める「水見」の仕事だ。
けれど夫は言った。「水の話はもういい。夫人の仕事は社交だ」。隣には、隣領から戻ってきた夫の幼馴染が座っていた。
セリーヌは帳面を閉じた。「では、来年の雨の話もしません」
その夜、離縁の書面が届く。彼女は署名し、条件を一つだけ付けた。十年分の水帳は持って出ます、と。夫は「紙くずなら好きにしろ」と笑った。
翌年は、七年に一度の渇きの年。帳面にはそう書いてあった。
行き先は、井戸が七本枯れた北の高地。口の重い辺境伯は、セリーヌを名前ではなく「水見殿」と呼び、彼女が測った数字を一つ残らず聞いた。十年、誰にも聞かれなかった数字を。
元夫から「帳面を持って戻れ」と手紙が来るのは、ハルデンの井戸が枯れてからのことである。
※本編30話+後日談3話で完結済み。毎日3話(6:00/12:00/18:00)更新します。
※本作は生成AIを利用して本文を作成しています。
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