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288.共闘(コカドリアス侵入)✔

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 まるで監視カメラのモニタを見ているように、あちこちの映像が頭の中で切り替わり続けている。何匹も魔物がいるみたいだ。この映像は、精霊の女王様が見せてくれているのだろう。

 見たい場所を考えるだけで、映像を切り替えることができる。最初に映し出されていた魔物を見たいと願うと、映像が切り替わり映し出された。

 魔物が毒液を吐き出すと、樹木の生気がみるみるうちに失われていく。パパ龍さんを苦しめたコカドリアスで間違いなさそうだ。

〈あの魔物が樹木を枯らしていたようですね! 許せません! ドライアドとノームの悲鳴が聞こえます!〉

 精霊の女王様の体はうっすらと赤く染まっており、怒りと悲しみが伝わってくる。俺にも悲しみのこもった精霊の悲鳴が聞こえている。この悲鳴はドライアドとノームのものなのだろう。沸々と怒りがこみあげてきた。

 チビとベビと共に、精霊の女王様が見せてくれた場所に直ぐに向かう。

〈チビ、ベビ、魔物の吐く毒液には気を付けて! あれに触れるとパパ龍さんのように動かなくなるよ。精霊が苦しんでいるから、人化を解いて協力して!〉

〈精霊が泣いているダォ!〉〈ベビに任せてなノ!〉

 チビとベビの姿がゆがみ始めている。人化を解いたようだ……破れる!

〈服は脱いで!〉

 服がはち切れる寸前でなんとか間に合い脱いでくれた。次は、もっと早く言うようにしよう。ふたりはグングンと大きくなり、元の龍の姿へと変わっていく。

 討伐について簡単に打ち合わせする。映像には魔物が何匹も映っており、毒液はそう遠くまでは飛ばすことはなかった。離れて風の刃で攻撃すれば安全に討伐できるだろう。火炎は森林火災になるので使用禁止だ。

 チビは右前方へ、ベビは左前方へと自信ありげに飛び去って行った。俺は魔物の数が一番多い、中央に向かう。

 これ以上被害が広がる前に早期に倒す必要がある。精霊たちの住処である迷いの森を護らなければ!

 魔物のいる場所に到着すると、精霊が必死に抵抗していた。土の精霊は精霊魔法で魔物を串刺しにしようとしているが、魔物の動きが早く捕えきれない。

 木の精霊は枝を鞭のようにしならせて魔物に攻撃しているが、ほとんどダメージを与えることができていない。

 風の精霊も強い風を吹かせているが、ほとんど効果がない。低位精霊の魔法では威力は弱いみたいだ。いや、中位精霊も混ざっているみたいだが、魔物の皮膚が硬いのか?

 風の使い方がそれではダメだ。もっと風を薄く、密度を高めないと!

 俺がそう考えた途端に、魔物の体に小さな傷が生まれ始めた。思考の共有化がされたままみたいだな。中位精霊までは会話はできないが、俺の考えていることは理解できるみたいだ。

 魔力鑑定眼で魔物を確認すると、魔石がふたつある。できることなら、元の姿に戻してやりたい。何度も話しかけてみたが、意思の疎通が出来ない。

 精霊が作った傷から、麻酔薬を体の中に入れようと試みるも上手くいかなかった。口の中に入れようとしても毒液で防がれる。このままでは被害が広がるだけだ。

 何か打開策を考えなければ……そうだ! 土の精霊に地面を下げるように指示する。木の精霊に枝を使った鞭の攻撃を続けてもらう。風の精霊には、風の刃で後ろ脚を集中攻撃するように指示した。

 魔物が戸惑っている。当たりかまわずに毒液を吐き出していたが、段々と脚に切り傷が増えていく。土の精霊が下げている地面と共に段々と土の中に沈み込んでいく。簡単には抜け出せない深さになった。毒液を吐き出しても自分に降り注いでいる。

 毒液により、土壌汚染が広がらないように周りの土をカチカチに硬化させた。これも土の精霊に指示を出してやってもらったんだ。

 チビとベビがいる場所を映像で見せてもらう。俺の思考が精霊と共有化されているため、ここと同じことが魔物のいる全ての場所で起きていた。チビとベビも風の刃で効果的に攻撃しいい仕事をしている。

 穴に入った状態の魔物を土の精霊に指示し、土で拘束する。魔物は身動きできなくなっており、しばらくすると毒液を吐き出す量も時間も少なくなってきた。

 更に土で圧迫していくと、押さえつけられて毒液を吐き出せなくなり、息をするのもやっとな状態になっている。鼻の穴から麻酔薬を流し込む。しばらくすると麻酔が効いてきたようで動かなくなってきた。他の拘束している魔物にも麻酔を流し込んで回る。

 最初の魔物に戻り、土の精霊魔法による魔石の摘出手術を開始した。土の精霊に依頼し、魔物の口を開ける。内視鏡の製造と操作も全て指示する。

 精霊との親和性も上がり、連携もどんどんと上達している。魔石の摘出も数をこなし、無駄なく早く行えるようになってきた。

 二個の魔石を摘出するとコカドリアスの変身が始まった。しかし、遺伝子操作か何かされているようで、元の獣人の姿には戻せなかったんだ。助けてあげたいが、無理なのだろうか? どうすればいいんだ?
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