村人Aが勇者の裏で、

もし、自分には何もないと思っている人間が――
世界を救う旅へ飛び込んだとしたら。

舞台は、魔物による被害が世界中へ広がり続ける時代。

人々が怯えながら生きる中、ついにセイギーノ王国の王子・フラペチーノが魔王討伐へと旅立つ。
生まれた瞬間から“勇者”として育てられた彼は、剣術、魔術、武術、学問、その全てを極めた完璧な存在。
誰もが信じていた。
「きっと勇者様が世界を救ってくれる」と。

――だが、その号外を見て胸を熱くしたのは、英雄でも騎士でもない。

辺境の小さな村・タイクーツ村で暮らす、ただの村人だった。

その男の名は、アッパレー。

不器用で、愚直で、まっすぐすぎるほどにまっすぐな青年。
特別な才能もなければ、高貴な血筋もない。
使えるのは木こり斧ひとつ。
それでも彼は、誰よりも本気だった。

「勇者様と共に、魔王討伐に行ってきます!」

周囲に笑われても構わない。
無謀だと言われても止まらない。

なぜなら彼は知っていたからだ。
本当に世界を救う人間は、“強い人間”ではなく、“誰かのために動ける人間”なのだと。

本作は、勇者ではない一人の村人が、勇者一行を追いかけながら世界を旅し、数々の出会いと別れを経て、やがて世界の運命を変えていく物語です。

天才だが傲慢な魔法使い・バツフォイ。
回復魔法が使えない異端の僧侶・ハッカイ。
孤独を背負った聖剣の守り手・シノン。
それぞれが傷を抱え、それでも前を向こうと足掻いている。

彼らと共に歩む中で、アッパレーは少しずつ“英雄”になっていく。
けれどそれは、剣で敵を倒した数ではありません。

誰かの涙を受け止めた数。
誰かの絶望に手を伸ばした数。
そして、何度傷ついても“人を信じ続けた数”です。

この物語には、最強の主人公はいません。
都合よく覚醒する力もありません。
あるのは、不器用な人間達が泥だらけになりながら、それでも前へ進もうとする姿だけです。

だからこそ、胸を打つ。

誰かに否定されても。
才能がなくても。
失敗ばかりでも。
人は誰かの希望になれる。

読み終えた時、きっとあなたはアッパレーのことを忘れられなくなるでしょう。

これは、“勇者の物語”ではありません。

勇者の後ろを走り続けた、名もなき村人の物語。

けれど気づけばあなたは、誰よりもその村人を応援しているはずです。

笑って、泣いて、心が温かくなる。
王道なのに新しい。
優しさが世界を変えていく、魂のファンタジー。

――村人Aが今日も、勇者の裏で奇跡を起こす。
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