偽りの愛など必要ありません。さっさと消えてください。

 オーテス男爵夫人ミリアは随分と長い間、子供たちの声を聞いていなかった。
 それも仕方がない。
 彼女は不貞の罪で訴えられ、夫の手によって屋敷の地下牢に投獄されているのだから。
 秋の夕陽が、冬の階段を降りていくのを見たある夕焼けの日。
 その景色に感銘を受けたミリアは、つい祈ってしまう。
 あの不貞な女と罵られた夜に。その数日前に戻れたら――あんな夫などこちらから離縁してやるのに。
 翌朝。
 彼女は離縁したあの日の少し前に戻っていた。

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