ゴメンね

父を小学六年で亡くした。百姓だった母は、父が遺した町工場を一人で引き継ぎ、三兄弟を育てた。怒鳴り声が絶えない家だった。厳しかった。それでも飯だけは絶やさなかった。やがて母は過労で倒れ、病床に伏した。臨終間際、あの人は初めて俺に囁いた。ゴメンね、と。その一言の意味を、俺はまだ考えることがある。
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