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「客人として迎えるだけだ。君は奥向きのことだけ見ていればいい」  そう言って婚約者が幼なじみを屋敷へ迎え入れた日、父は「侯爵家を怒らせるな、我慢しろ」と言いました。  ええ、待ちますとも。婚約を解くと仰るまでは。  この屋敷の奥向きで働く料理人も、庭師も、御者も、婚約が決まった年に雇い入れた者たちです。雇い入れ状に書かれているのは、侯爵家の名ではございません。「次の奥様」として、私の名です。  ですから、婚約を解かれた月の終わりに、あの者たちの雇いも終わります。私は何も申し付けておりません。  父に叱られた晩、母だけが灯りを消さずに待っていてくれました。  次の雇われ先も、もう決まっているとか。今さら呼び戻そうとなさっても、もう遅いのです。 ※毎日6・10・12・16・18・21時に更新します。
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