【完結】MMORPGの世界に飛ばされた私ですが、ラスボスが上司だったので遠慮なく倒しました。
残業を終え、家へ帰ったはずの篠宮澪が目を覚ました場所は、何百時間と遊んだMMORPG《エルド・レコード》の世界だった。
しかもその姿は二十代の会社員ではなく、つい先日作ったばかりの十五歳の少女《ミオ》。
レベルは低い。装備もない。所持金もほとんどない。
それでも、何も知らない異世界へ放り込まれるよりは遥かにいい。
この世界なら知っている。
最初の街で何をすればいいのか。どこで金を稼げるのか。どの魔物を倒せば効率よくレベルを上げられるのか。そして、メインストーリーを最後まで進める方法も。
それだけではない。
冒険者ギルドの受付前でポーションを飲めば、なぜかインベントリから減らない。
元々動きの遅い甲殻種へ《鈍足》をかけ、内部数値がマイナスになったところへ初心者用ポーションを投げつければ――
【99999 DAMAGE】
本来なら格上の魔物が一撃で消し飛ぶ。
「……バグまでそのままなんだ」
正規の攻略法から、プレイヤーの間で見つかった小技やバグまで。
何度も遊んだ澪の記憶には、この世界を攻略するための知識が詰まっていた。
ただし、一つだけゲームとは違う。
街で暮らす人々は決められた言葉を繰り返すNPCではなく、それぞれが考え、昨日の出来事を覚え、当たり前のように毎日を生きている。
それでも、モンスターを倒せば経験値が入り、アイテムがドロップする。
ゲームのルールは確かに存在していた。
ならば、まずはクリアしてみる。
何百時間と遊び、すでに三度も攻略したゲーム。
四度目ともなれば、そう難しくはない。
――その最後に、絶対にいるはずのない人物が待っていることを、この時の澪はまだ知らなかった。
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それだけではない。
冒険者ギルドの受付前でポーションを飲めば、なぜかインベントリから減らない。
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