憑いてる。

この世界には、“憑いている”人間がいる。
 全国模試一位の天才。
 学校を支配するカリスマ。
 喧嘩無敗の不良。
 全国レベルのアスリート。
 人を惹きつけるアイドル。
 SNSで爆発的な人気を得る配信者。
 誰もが「あいつは何か持っている」と噂する。
 だが、それは才能ではなかった。
 歴史上の偉人や、現代の成功者たちの魂――。
 彼らは死後も消えず、次の時代の“器”を求めていたのだ。
 諸葛亮孔明。
 織田信長。
 ナポレオン。
 徳川家康。
 そして、現代社会を支配した経済人や国民的スターたち。
 彼らは子どもたちへ憑き、再び天下を狙っている。
 そんな世界で、綾小路将太は全国統一模試の日、“見えてはいけないもの”を見てしまう。
 灘志望の天才・森岡悠真の背後に立つ、諸葛亮孔明。
 その瞬間から、将太の日常は崩壊する。
 塾の序列。
 学校内の勢力争い。
 スポーツ。
 喧嘩。
 人気。
 SNS。
 恋愛。
 現代社会のあらゆる競争の裏側では、“憑依者”たちによる静かな戦争が行われていた。
 そして将太だけは、誰にも憑かれていない“空席”だった。
 だからこそ、最も危険な器。
 これは、現代の勝者たちと歴史上の怪物たちが交錯する、新時代の戦国譚。
 天下を取るのは、人間か。
 それとも、“憑いている者”か。
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