帝都祓魔奇譚 幻魔開門
大正十二年九月一日。
浅草・凌雲閣から帝都を見渡していたサーカス芸人・鳥海冬馬は、関東大震災ですべてを失った。
仲間も、恋人のお初も、夢を語り合った舞台も、一瞬にして瓦礫の下へ消えた。
一か月もの間、お初を探し続ける冬馬。しかし彼が夜の帝都で見つけたのは、人を喰らい、人の姿を真似る怪物「幻魔」だった。
銃も砲も通じない異形を倒せたのは、怪力芸、軟体芸、火吹き、剣呑みといった、舞台で磨き上げた芸を極めた冬馬ただ一人。
その力を見込まれた彼は、帝国陸軍の極秘組織「軍事探偵」として怪異討伐を任される。
黄金の仮面を被り、退魔の剣を飲み込み、夜の帝都を駆ける冬馬。
だが戦うほど、幻魔はただの怪物ではないことが明らかになっていく。
なぜ震災の日を境に現れたのか。
誰が幻魔を生み出したのか。
そして、お初は本当に死んだのか。
新たな住まいとなった蕎麦屋で、亡き恋人と瓜二つの娘・澄と出会った時、冬馬の運命は再び大きく動き始める。
震災の闇に隠された真実と、人ならざる者たちの陰謀。
これは、芸人の技で怪異を討ち、失った大切な人を追い続ける一人の青年が、帝都の運命を懸けた戦いへ挑む大正怪異活劇である。
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