ギンガムチェックとりんごパイ

 蓮丘高校に通う二年生の小松香魚、大垣朱夏、白岩くるり、宮野詩は、クラスも違えば性格も違う女子高生。そんな彼女たちの共通点は、毎年、十月の第一週の土日に行われる『夜行遠足』という行事に向けて、みんなそれぞれ何かしらの悩みを抱えているところだ。

 夜行遠足は、男子は105キロ、女子は43キロの道のりをひたすら歩くという、心身ともに過酷を極めるウォーキング行事なのだが、蓮高女子の伝統として、本命の相手に赤のギンガムチェックのお守りを渡すのが習わしとなっている。男子の中で完歩した生徒だけがもらえるのは、たったのりんご一つ。お守りのお礼として女子に渡し、女子はそのりんごでアップルパイを作り、男子生徒と一緒に食べる、というのが蓮高の夜行遠足のあらましだ。

 香魚には、四年片想いしている男子がいる。
 朱夏は、自分より1センチ背の低い男子に片想い中。
 くるりは、仲間とだらだら過ごしながらも、そんな自分に焦燥感を。
 詩は、彼氏にしたいと思っていた男子にお守りを突き返されてしまう。

 そんな彼女たちは、夜行遠足をきっかけに、それぞれが知らず知らずのうちに少しずつ関わり合い、刺激し合い、成長していく。

 日陰女子、高身長女子、計算女子、迷走女子--年に一度の行事を巡る恋と青春の十日間。


*「夜行遠足」は、山梨県甲府第一高校の「強行遠足」をモデルにしています。
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