The Everest Protocol(ジ・エベレスト・プロトコル)
人生の挫折を抱え、現実から逃げるようにヒマラヤ・トレッキングツアーに参加した三人の日本人。
痛覚を失ったフードデリバリーの藤原涼、音を失った孤高の物理学者・真田湊人、そして光を失ったAI倫理を専攻する大学生・瀬尾ユナ。交わるはずのなかった彼らの運命は、標高五千メートルの峻厳なる雪山で激変する。
電子観測の死角「時間の影」でユナのスマートフォンが、超光速素粒子〈クロノン〉がもたらした「二時間後の未来」のニュース速報を受信する。
『フランス国防省は、ヒマラヤ山中で国際テロ組織の凶悪犯三名を射殺』
画面に映し出されたのは、他でもない彼ら自身の無惨な遺体だった。
なぜ、平凡な日本の若者が世界最凶のテロリストに仕立て上げられ、国家に命を狙われなければならないのか?
訳も分からぬまま、未来の報道通りに襲い来るフランス最高峰の特殊部隊〈DGSE〉。白銀の地獄と化したヒマラヤでの決死の逃走劇の中で、三人は自律型超知能〈HELIX〉と、全人類を巻き込む極秘計画〈エベレスト・プロトコル〉の存在に辿り着く。
未来の情報を知った代償として、彼らの肉体は一分一秒ごとに境界線を失い、この世界から消滅していく「量子崩壊」に蝕まれ始める。残された時間は、七日間。
肉体が完全に溶け落ちる前に、そして核兵器の誤作動が世界を焼き尽くす前に、不完全な三人は自らの「欠落」を武器に変え、ヒマラヤの雪嶺から、すべての元凶が眠る芸術と陰謀の都・パリへと翔ける。
神になり損ねたAIの論理(システム)を、人間の不合理な絆(バグ)が凌駕する、世界が息を呑む知略型(ハイコンセプト)サイバー・サスペンス。
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