暗殺された最強勇者は婚約者の病弱王女の身体で目覚め、自分を殺した犯人と彼女を眠らせた毒の王宮を拳で暴く
王宮復讐×TS身体共有バディ
目を覚ましたら、俺は婚約者の身体の中にいた。魔王との決戦の最中に暗殺された俺が、王女リリィの中で息をしている。状況を確かめようと、自分の身体に触れた、その時――「変態! どこを触っているんですか!!」
頭の中で怒鳴ったのが、その婚約者だった。
ほとんど話したこともなかった王女と、ひとつの身体に、二人。
文句を言い合うしかなかった。
夜通し殴り合った魔王との、最後の一撃。
それを、何者かに後ろから奪われた。
誰が、なぜ。――必ず暴く。そう決めた矢先、気づいてしまった。
この王宮は、おかしい。
甘く冷たい香り。毎朝の薬湯。
誰も声を荒げず、誰も「嫌だ」と言わない。
怒りも悲しみも、静かに眠らされた場所。
「私……嫌だと思う前に、いつも眠くなっていたんです」
寝たきりだったはずのリリィの身体は、何かが抜けたように軽い。
まるで、ずっと薬で眠らされていたのが、解けたように。
その夜、刺客が来た。
脆いリリィの身体。それでも俺は、床を滑り、毒の刃すら捻じ伏せる。
斬られた痛みは、リリィにも走る。それでも彼女は、声を殺して耐えた。
動けない王女と、死んだはずの俺。
痛みを分け合いながら、少しずつ、本物の相棒になっていく。
誰が、俺を殺したのか。
なぜ、リリィは眠らされてきたのか。
この国を覆う、甘く冷たい眠りの正体は――。
「いつか、お前自身の口で言えるようにしてやる」
動けなかった王女と、暗殺された勇者。
眠りのように美しいこの王宮で、俺たちは初めて、声を上げる。
「嫌だ」と、拳を握るために。
目を覚ましたら、俺は婚約者の身体の中にいた。魔王との決戦の最中に暗殺された俺が、王女リリィの中で息をしている。状況を確かめようと、自分の身体に触れた、その時――「変態! どこを触っているんですか!!」
頭の中で怒鳴ったのが、その婚約者だった。
ほとんど話したこともなかった王女と、ひとつの身体に、二人。
文句を言い合うしかなかった。
夜通し殴り合った魔王との、最後の一撃。
それを、何者かに後ろから奪われた。
誰が、なぜ。――必ず暴く。そう決めた矢先、気づいてしまった。
この王宮は、おかしい。
甘く冷たい香り。毎朝の薬湯。
誰も声を荒げず、誰も「嫌だ」と言わない。
怒りも悲しみも、静かに眠らされた場所。
「私……嫌だと思う前に、いつも眠くなっていたんです」
寝たきりだったはずのリリィの身体は、何かが抜けたように軽い。
まるで、ずっと薬で眠らされていたのが、解けたように。
その夜、刺客が来た。
脆いリリィの身体。それでも俺は、床を滑り、毒の刃すら捻じ伏せる。
斬られた痛みは、リリィにも走る。それでも彼女は、声を殺して耐えた。
動けない王女と、死んだはずの俺。
痛みを分け合いながら、少しずつ、本物の相棒になっていく。
誰が、俺を殺したのか。
なぜ、リリィは眠らされてきたのか。
この国を覆う、甘く冷たい眠りの正体は――。
「いつか、お前自身の口で言えるようにしてやる」
動けなかった王女と、暗殺された勇者。
眠りのように美しいこの王宮で、俺たちは初めて、声を上げる。
「嫌だ」と、拳を握るために。
あなたにおすすめの小説
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
私の記念画を横取りした義妹は、王宮の除幕式で消える絵の具の罠を知る
「――この『暁の白百合』は、エマが描いたことにして王宮へ献上する。セシル、お前は今からキャンバスの隅にある自分の署名を消しなさい」
王太后陛下の生誕六十周年祝賀会に献上する記念画。モンフォール子爵家の長女セシルが三ヶ月かけて描き上げたその大作を、父と継母は義妹エマの作品として差し出せと命じた。逆らえば、亡き母の遺した画材もスケッチブックも焼き捨てる、と。
セシルは従ったふりをして、エマの新しい署名の上に「仕上げの保護ニス」を塗る。それは、強い光と熱を浴びると上の絵の具を消し去る、母直伝の感熱消色ワニスだった。
王宮の展示室で、彼女の指に残る群青の顔料に目を留めたのは、祝賀会の芸術監督を務めるジュリアン・ヴァルモア公爵。二年前から、名もなき絵師の絵を探し続けていた人だった。
「……どうだい、セシル。今夜から俺と、最高の共犯者になってくれないか?」
窃盗の濡れ衣を着せようとする義妹の企みを逆手に取り、迎えた除幕式の当日。天窓から差し込む朝日の下で、偽りの名が消えていく。
奪われた名前と誇りを、自分の絵筆で取り戻す物語。
「君を愛することはない」と毎日言われたので、離縁の日だけは聞きに行きませんでした
「君を愛することはない」 夫にそう言われながら、セシリアは一年間、二人分の夕食を用意して待ち続けた。 けれど、婚姻を継続するか決める前夜、夫は最後の約束まで破り、幼なじみと観劇へ出かけてしまう。
翌朝、セシリアは夫の書斎を訪ねず、不更新届を提出した。 慌てて差し出された更新証書にも、もう署名はしない。
私を待たせたあなたを、これ以上待つつもりはありません。 冷遇された妻が離縁を選び、自分の暮らしと新しい恋を手にする。
罰を受けた婚約者達
親を亡くした侯爵令嬢は、王太子に婚約破棄されてしまう。さんざん尽くしてきたと言うのに、冤罪まで着せられて。いろいろあったことの代償に、苦しめられる国王と王太子達。その先には何が待っているのか?
小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。
3年放置の末に理不尽な離縁状が届きました
没落寸前の生家を救うため、政略結婚で北方の名門ヴォルクハイム伯爵家に嫁いだフィラディス。
しかし、初夜すら姿を見せず王都へ去った若き伯爵ドルヴァルは、彼女を寒冷な辺境の屋敷に3年間も完全放置した。
フィラディスは腐ることなく、持ち前の機転と誠実さで荒れ果てた領地を立て直し、特産の織物と薬草酒の事業を成功させ、領民や使用人たちから心から敬愛される存在となっていた。
そんなある日、王都から届いたのは一枚の羊皮紙――「社交界にも出ず無為に浪費する穀潰しの妻とは婚姻を維持できない。真実の愛を得たため離縁する」という、理不尽極まりない一方的な離縁状だった。
「……お顔も名も存じ上げぬ殿方から、これほど都合のよい贈り物をいただけるなんて」
フィラディスは怒るどころか晴れやかに笑い、離縁を即座に受諾。彼女が3年で築いた莫大な個人資産、商会との独占契約、そして腕利きの使用人たちをすべて連れて、未練のかけらもなく屋敷を去る。
一方、王都で美貌の子爵令嬢シェリアーナに貢ぎ散らかしていたドルヴァルは、莫大な借金の返済を領地に押し付けようと3年ぶりに帰還する。しかし、そこにあったのはもぬけの殻となった廃屋同然の屋敷と、冷え切った金庫だった。
新天地の交易都市で若き監察公爵カルヴァランの支えを受け、商才を開花させていくフィラディスと、すべてを失って破滅へ転落していく愚夫の痛快な自立逆転劇。
勇者に手柄を奪われたので、魔王討伐の報告会で質問を三つだけしました
「お前の名前を出すと、英雄譚が分かりにくくなるんだ」
魔王討伐の作戦士アルレンは、勇者に自分と仲間の功績を奪われた。
口止め料を拒み、向かったのは王の前で開かれる報告会。
「第一結界を、なぜ夜明けまで破らなかったのですか」
三つの質問と、討伐前から残る記録。
華々しい武勇伝の裏で、誰が何をしたのか。
英雄の嘘を暴き、仕事と名前を取り戻す逆転ファンタジー。
「先に寝ていていい」と言われたので、夫の帰りを待つのをやめました
王宮勤めの夫は、帰宅が遅い。
私はいつも居間で本を読みながら夫を待ち、帰ってきた彼と少しだけ話をしてから眠る。それが、いつの間にか毎日の習慣になっていた。
けれど、ある晩、
「君まで付き合う必要はない。先に寝ていていい」
夫にそう言われた。
確かに、私が起きて待っている必要などない。食事も湯も、使用人たちがきちんと用意してくれる。
だから、その日から私は夫の言葉どおり、先に休むことにした。
ただそれだけのことだったはずなのに、夫の様子が少しずつおかしくなっていく。
余命一ヶ月の妻が死んでから後悔した夫は、彼女を溺愛する。けど、私に未練はない。
余命一ヶ月と告げられた侯爵夫人リュシア。
夫アルベリクは病気を信じず、愛人に子供を産ませるとまで言った。
「私は愛されていなかったんだ……」
そう思ったまま、リュシアは夫への想いを胸に死んだ。
けれど彼女の死後、アルベリクは初めて自分の本当の想いに気づく。
「どうして、もっと早く伝えなかったんだ……」
妻を失ってから、彼は彼女の肖像画を見つめ続ける。
――けれど、もうリュシアに未練はない。
ログインすると感想の投稿ができます。