他の誰かにはなれない

「いつまで寝てるの、このグズ!」
「…っ?」

そんな暴言と共にびしゃっとかけられたのは、冷水。
心地よい眠りは強制的に終わりを告げる。

「…キャシー?」
「はあ? 誰よ、キャシーって。寝ぼけてんじゃないわよ」

滴る水分を拭いながら起き上がる。薄暗がりの中、寝台の側に仁王立ちしている女性を改めて見た。見覚えのない顔、そうだ、そもそも心優しい侍女(キャシー)が冷水や暴言を浴びせてくるわけがなかった。
視界に映る室内も見覚えがない。間違いなく、知らない場所だ。

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