堕天女伝説
近未来の日本。ハンサムだがオクテな阿部武彦の唯一の趣味は、コケティッシュな妹の美弥を溺愛することだった。いま二人の母は長期入院中、父と三人暮しだ。
だがその父がある日、航空機事故に巻き込まれる。事故の原因となったのは、光輝く天女だと言う。そんな報告は信じてもらえず、父親は重篤で入院したままになる。
嘆き悲しむ兄妹は、父を見舞った夜、特別病室に輝く天女が舞い降りるのを目撃する。
アマヒメと名乗るその美しき天女は飛行機を巻き込んだことをわびるとともに、危篤だった父を甦らせてしまう。兄弟は驚きつつも、浮世ばなれした天女を家に匿う。
しだいになれてきた彼女は言う、いま「この世」に危機が迫っていると。神話時代、神々によって宇宙の果てに追放された邪神の星「アマツミカボシ」が、復讐のために再接近している。ミカボシは文明で穢された地球を浄化し、いっさいを古代に戻そうとしている。
その復讐を阻止すべく彼女は天界の命令をうけ、唯一の対抗武器たる神の軍船「アマノイワフネ」を求めて、高天原から天降ったと言うのだ。
おりしも地上の各地では、亜高速超電磁遊星の接近を各地の天文台が警告していた。
しかしその星を観測する施設、学者が次々と奇怪な鬼女に襲われ続けている。超電磁で地上の電子機器を一切無力化、近代文明を滅ぼそうとするミカボシが、黄泉の使者シコメを操っていたのだ。とても信じられない話だが、武彦はアマヒメに抱かれて空を飛び、さらにはイワフネ発掘を阻止しようとする奇怪な鬼女シコメの襲撃を受ける。
阿部兄妹も天女に協力し、ついに神話の語るアマノイワフネの船頭、ハバラに出会う。ハバラは降臨後三千年近く、日本史を裏側から支えていたのだった。
アマヒメの意図を知り正体を現した「日本政財界の生き神」アマツ・ハバラは、かつて諏訪湖に隠したイワフネを蘇らせる。いまやいかなる科学文明をもってしても邪悪な星は防げない。神の舟だけが頼りだ。しかし動かせる者は、ハバラ一人である。
半分人間となっていたハバラは自らの死を覚悟し、アマヒメと共にイワフネにのりこむ。
土壇場のシコメの攻撃も皆で協力してかわし、天空舟は空へのぼる。かくて捨て身の攻撃で、邪悪の星アマツミカボシは再び宇宙の果てまで吹き飛ばされ、地球文明は救われた。
だが半神半人のハバラは宇宙線などに耐えられず、絶命する。使命を終えたアマヒメは、ハバラの遺骸を抱いて、高天原へと上っていくのだった。
阿部兄妹は天女の帰還を見送るしかなかった。再開を祈りつつ。
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