不老不死を探した勇者
魔王を討ち果たし、世界を救った勇者レオン。
人族の勇者、エルフの魔法使い、人族の僧侶、豹獣人の剣士――四人の長い旅は終わり、レオンは共に戦ったエルフのリュシアと結婚する。
湖畔の小さな家で始まった、穏やかな夫婦生活。
しかし十年、二十年と時が流れるにつれ、レオンは気づいてしまう。
自分だけが老いている。
皺が増え、髪が白くなり、剣を振る身体も衰えていく。一方、千年近い寿命を持つリュシアは、結婚した頃とほとんど姿が変わらない。
やがてレオンは、妻を残して死ぬことを恐れ、不老不死を求めるようになる。
東方の蓬莱山に伝わる霊薬。
北方の黄金の林檎。
西方に伝わる不死の蟠桃。
かつての仲間たちと再び世界を巡る勇者だったが、どの伝説にも求めていた答えはなかった。
そして一人、また一人と仲間たちは世を去っていく。
ついに老いた勇者が最後に縋ったものは、不老不死ではなく――輪廻転生だった。
「もし生まれ変われたら、ここへ帰ってくる」
妻と最後の約束を交わし、勇者は八十四年の人生を終える。
それから十年。
エルフの妻が一人で暮らす湖畔の家に、見知らぬ十歳ほどの少年が訪れる。
少年は彼女を見上げて、たった一言こう言った。
「ただいま」
これは世界を救った英雄が、永遠を探し続けた末に、「帰る場所」の意味を知る物語。
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