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ゾニサミド王国風が気に入ってます
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「エルそろそろディート様と会ってみない?」
移動魔法で到着するなり、ローゼ姉様はニコニコ顔で私に告げた。
本当は婚約者なんていらないのだけれど、何か理由をつけて断れないものかしら?
「どうしても婚約しないとダメなのですか?」
「そうね。この国で生きるならそれがベストだと思うわ」
「好きな人とかいないのかしら? 2人を引き裂く悪役令嬢にはなりたくないの」
「いないと思うわ。ただ獣人だから婚約したあとで番が見つかると面倒なのよね」
「番?」
「うん、獣人にとっての魂の伴侶みたいな感じの相手かしら。会った瞬間に魂が震えて、もうその相手しか見えないらしいわ。まぁ、ほんとにべったりよ」
番か~。ローゼ姉様と夫の王太子殿下は番だそうだ。
人間の姉様は全くわからないらしい。夫の溺愛ぶりは確かに凄い。めぐり逢えたらあんな感じになるのだろう。
めぐり逢える人はほんとに少ないらしい。
婚約者のディート様?も番と出会ってくれれば幸せだし、私は婚約しなくて良くなって自由を手に入れられそうで幸せ。双方幸せで万々歳だな。
「でももし、番が現れて結婚しなかったっとしても、とりあえず身分はそのままでいいし、王宮に住んでも構わないのよ」
いやいや私が構う。でもありがたい。
「では、そうなったら冒険者として世界を回ろうかな? こちらのギルドにはエレオノーラで登録したし、依頼があったらこっちに来るわ」
「そうね。もしそうなったら私も別の嫁ぎ先を探しておくわ。でも今は番が見つかる人は3割くらいらしいから、大丈夫だと思うわよ」
いやいや、別の嫁ぎ先なんて探さなくていい。
私はしばらくラメルテオンには戻らず、ゾニサミドにいることにした。
父からしばらく戻ってくるなと魔法伝達が来たからだ。
どうやらラメルテオンはまたややこしくなっているようだ。
ゾニサミドの貴族の女性はラメルテオンのようにロングヘアでなくてもいいと聞いた。さすが獣人の国、ディート様に会う前に切っちゃおかな。
ローゼ姉様に相談したら「いいんじゃない」と言ってもらい、おまけに評判のカリスマ髪切師を紹介してもらった。
「凄い! 思った以上に素敵になりましたね。エレオノーラ様は頭の形が綺麗ですし、長身でスタイルも良いのでベリーショートがカッコ可愛いと思ったのです」
カッコ可愛い? カッコ良くて可愛いということか?
髪切師が褒めまくってくれた。
ゾニサミドで流行っているドレスを姉様が誂えてくれた。身体に添ったラインでコルセットはつけない。
メイクもゾニサミド風にしてもらった。
えっ? 私? 別人じゃん。
いやぁ、いいわ。こんなの好き。私は背が高いからラメルテオンで流行っていたような可愛いふわふわしたドレスは似合わなかったのよ。
うれしい~! ローゼ姉様ありがとう!
ゾニサミド最高!
もう、ラメルテオンはややこしいみたいだし、エルフリーデやめてエレオノーラで行こう。
いよいよ明日はディート様と初対面だ。
私のような背の高く、可愛げのない女は嫌だろうな。でもいいや。
私は今の私が好きだもん。
待ってろよ。ディートヘルム・ドルナー!
移動魔法で到着するなり、ローゼ姉様はニコニコ顔で私に告げた。
本当は婚約者なんていらないのだけれど、何か理由をつけて断れないものかしら?
「どうしても婚約しないとダメなのですか?」
「そうね。この国で生きるならそれがベストだと思うわ」
「好きな人とかいないのかしら? 2人を引き裂く悪役令嬢にはなりたくないの」
「いないと思うわ。ただ獣人だから婚約したあとで番が見つかると面倒なのよね」
「番?」
「うん、獣人にとっての魂の伴侶みたいな感じの相手かしら。会った瞬間に魂が震えて、もうその相手しか見えないらしいわ。まぁ、ほんとにべったりよ」
番か~。ローゼ姉様と夫の王太子殿下は番だそうだ。
人間の姉様は全くわからないらしい。夫の溺愛ぶりは確かに凄い。めぐり逢えたらあんな感じになるのだろう。
めぐり逢える人はほんとに少ないらしい。
婚約者のディート様?も番と出会ってくれれば幸せだし、私は婚約しなくて良くなって自由を手に入れられそうで幸せ。双方幸せで万々歳だな。
「でももし、番が現れて結婚しなかったっとしても、とりあえず身分はそのままでいいし、王宮に住んでも構わないのよ」
いやいや私が構う。でもありがたい。
「では、そうなったら冒険者として世界を回ろうかな? こちらのギルドにはエレオノーラで登録したし、依頼があったらこっちに来るわ」
「そうね。もしそうなったら私も別の嫁ぎ先を探しておくわ。でも今は番が見つかる人は3割くらいらしいから、大丈夫だと思うわよ」
いやいや、別の嫁ぎ先なんて探さなくていい。
私はしばらくラメルテオンには戻らず、ゾニサミドにいることにした。
父からしばらく戻ってくるなと魔法伝達が来たからだ。
どうやらラメルテオンはまたややこしくなっているようだ。
ゾニサミドの貴族の女性はラメルテオンのようにロングヘアでなくてもいいと聞いた。さすが獣人の国、ディート様に会う前に切っちゃおかな。
ローゼ姉様に相談したら「いいんじゃない」と言ってもらい、おまけに評判のカリスマ髪切師を紹介してもらった。
「凄い! 思った以上に素敵になりましたね。エレオノーラ様は頭の形が綺麗ですし、長身でスタイルも良いのでベリーショートがカッコ可愛いと思ったのです」
カッコ可愛い? カッコ良くて可愛いということか?
髪切師が褒めまくってくれた。
ゾニサミドで流行っているドレスを姉様が誂えてくれた。身体に添ったラインでコルセットはつけない。
メイクもゾニサミド風にしてもらった。
えっ? 私? 別人じゃん。
いやぁ、いいわ。こんなの好き。私は背が高いからラメルテオンで流行っていたような可愛いふわふわしたドレスは似合わなかったのよ。
うれしい~! ローゼ姉様ありがとう!
ゾニサミド最高!
もう、ラメルテオンはややこしいみたいだし、エルフリーデやめてエレオノーラで行こう。
いよいよ明日はディート様と初対面だ。
私のような背の高く、可愛げのない女は嫌だろうな。でもいいや。
私は今の私が好きだもん。
待ってろよ。ディートヘルム・ドルナー!
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