王子とは結婚しない
春霞の王都リュミエール
白い尖塔を持つ王宮の中庭では季節外れに咲いた白百合が甘い香りを放っていた。
初代国王の伝説に倣って、王族が婚約者に求婚する。
この日も王太子レオンハルトが婚約者エレナ・ロゼットに跪く。
王宮の楽師が鳴らす曲に、見届け人の貴族たちは誰もが彼女が頷くと信じていた。
「エレナ。私の妃になってほしい」
「殿下。身に余るお言葉、心より光栄に存じます」
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