自己中な妹は、私が愛されているという事を理解できない。

「お姉様も馬鹿ねえ。私のほうが〝格上〟だってまだ理解できないの?」 

と、出戻りの妹が私を鼻で笑う日々。
確かに2才下の妹アドリアナはいちばん先に婚約し、結婚した。
でもそれは両親と兄が、問題児である次女アドリアナをサクッと片付けてしまいたかったから。

当時、それが厄介払いに見えた私は「そんなに急がなくても」と言ってしまった。
もちろん妹は「自分の妹を僻むなんて、恥ずかしい人」と私を嘲笑った。

そんな妹は嫁ぎ先であるゲルブラード伯爵家から離縁されて戻って来たわけだけど……

「彼は私のおかげで真実の愛に気づいたのよ? わかる? 私は愛の女神なの」

と、すべてを自分のいいように解釈して、いい気になっている。

「やはり、あれを野に放ってはいけなかった……!」

父は後悔している。

「あなたの結婚が決まっていてよかった……!」

母は私を抱きしめて泣いた。

「アドリアナは我がカールフェルト伯爵家にとって門外不出の秘宝だな」

兄は皮肉たっぷりに言いつつも、妹の再教育プランを模索中。
そして私はというと、婚約者であるクロンヘイム伯爵と熱愛中。

「シャルロッタ。結婚式を待ち侘びるじれったさすら、愛おしい」
「ヨハンネス様……」

どんなに愛しあっていても、式を待つのには理由があった。
私たちの婚約発表とほぼ同じタイミングで王女ラケル様が婚約されたのだ。
ここは異国に嫁がれる王女のご結婚を待つのが筋というもの。

ところがその王女主催の晩餐会で、なんと妹が失態を演じてしまい──!?
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