妹に婚約者を奪われた私ですが、愛し愛され結婚しました。

「あんな人だったなんて! 私を可哀想とは思わないの!?」 

私からロルフを奪ってグルストランド伯爵夫人になった妹レベッカ。
出産まで里帰りという我儘に加えて、朝から晩まで愚痴ばっかり。

「ごめんなさい。約束があるから出掛けるわ」
「私のおかげで自由なくせに、この薄情者!!」

私はアスター・レーヴ。
残念ながら妹に婚約者を奪われて婚期を逃したセデーン伯爵令嬢とは、私だ。

両親は私の結婚をすっかり諦め、弟エリクの教育に夢中。
私がなにをしようと、ほぼ無関心。

「以前の君なら、俺の前じゃ帽子のリボンも解いちゃくれなかったのに」
「実に、地に落ちたわね」

私はフレイヴァルツ伯爵令息ウィリアム・トゥーレソンに誘われ、彼の別荘に通っていた。
彼は絵が趣味で、私を描きたいそうなので、無償で肖像画を描いてもらっている。

「君が愛する人と結ばれるように……そう願って、君を描くよ」

私は結婚しなければならない。貴族として、至極まともな殿方と。
だからウィリアムのような道楽息子は、論外だったはずなのに……
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