縋りつく負
「あなたの優しさが、いちばんの猛毒になる。」
児童相談所に勤める佐伯結衣は、ある豪雨の夜、凄惨なネグレクト環境から一人の少年・ハルを保護する。狂乱する両親から引き離されたハルは、古びたお守りを握りしめたまま、一切の言葉を発しようとはしなかった。
ハルを救い出した直後から、結衣の身に奇妙な変化が起き始める。長年彼女を苦しめていた持病が消え、仕事も私生活も、恐ろしいほどの「幸運」に恵まれ始めたのだ。過酷な境遇にあるハルを慈しみ、深い愛を注ぐ結衣。しかし、彼女が幸福を享受するのと引き換えに、周囲では不可解で無惨な死が連鎖し始める。
この幸運は、神からの贈り物か、それとも底なしの泥沼への招待状か――。
調査を進める結衣が辿り着いたのは、ある一族に伝わる禁忌の伝承だった。
「誰かを救いたい」という純粋な善意が、最も残酷な形で仇となる呪いの正体。
愛すれば愛するほど、救おうとすればするほど、逃れられない破滅の渦に引きずり込まれていく。結衣が最後に選ぶ「救済」の形とは。そして、この物語を読み終えたあなたに降りかかる、本当の恐怖とは。
――この「呪い」は、物語を閉じたあとも、あなたを離さない。
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