あやかし切り

 江戸で人気の呉服店、天衣屋<てんいや>の娘あやめは、今日も元気に銀細工職人しんの元に押しかけ、新しい図案を提供する。
 腕はいいし、顔もいいのに、生活が不規則だからかあまり女性に人気が無いしんに対し、あやめが軟弱色男野郎と呼ぶ二軒隣の酒屋の伊助は大人気。
 そしておまけに、江戸に出るあやかしを切る『かげさま』こと、あやかし切りも大人気。
 しかしこのあやかし切り、活動するのが夜半であること、顔が笠で見え難いことから武士であることしか知られていない。
 あやかしを切る姿は、もの凄く格好いい。
 そして、あやかし切りは、武士の職位のひとつであること、陰ながら町民の暮らしを守ってくれることから、お蔭様の気持ちをこめて『かげさま』と呼ばれる彼が、人気なことは、まあ容認できる。
 それでも『しんさんだって、ちゃんとしたら格好いいのに』という気持ちは止められない。

 そんなあやめと、あやめを妹のように思うしんの、表向きは呉服屋の娘とその店の銀細工職人、その実態は・・な、なんちゃって江戸物語。

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