【月影録】 ー新選組江戸支部ー
文久の江戸。
由緒ある武家・香月家の次男、香月悠臣は、幕府公認の香月流剣術道場を開き、若き剣士たちを育てていた。
道場に集うのは、没落士族の青年天城朔也、名門出身の理知的な剣士御影直熙、陽気な仮面の裏に過去を隠す桐原篤哉、誠実な町人出身の真木智久、寡黙な努力家朝倉洸太ら、さまざまな出自を持つ若者たちが集う。
そして悠臣の妹・香月美織は、兄の道場を支えながら、香と医術を学ぶ日々を送っていた。
だが、尊攘派の不穏な動きが江戸の町に広がる中、香月道場は次第に時代の濁流へ呑み込まれていく。
門弟による“誤斬事件”、道場への疑惑、そして江戸を焼く陰謀――。
守るために剣を取る者たちは、やがて「ただ強いだけでは守れないもの」があると知る。
一方で、美織をめぐる恋もまた静かに動き始める。
朔也の真っ直ぐな想い、幼い頃から胸に残る土方歳三への憧れ、そして家の名を背負って持ち上がる縁談。
それぞれの誇りと想いが交錯する中、江戸の若き剣士たちは、“守る”とは何かを問いながら時代の裂け目へ踏み出していく。
家のために生きるのか。
心のために生きるのか。
恋を選ぶのか、義務を選ぶのか。
これは、京の新選組とは別の場所で、
江戸を守ろうとした者たちの、もう一つの”誠”の記録である。
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